自動ドアをくぐり中に入ると受付がある。大人700円、学生300円、小人100円。手塚治虫やサファイア、アトムなどのビッグなフィギュアが迎えてくれて嬉しい。
1階には常設展示が並んでいる。未来っぽい造形のカプセルの中に手塚治虫のゆかりの物品や作品が展示されているのだが、これが宝の山なのである。
一番目を引くのが、生原稿の数々だ。ブラックジャックが、高笑いするドクターキリコに
「それでも私は 人をなおすんだっ 自分が生きるために!!」
と叫ぶシーンの生原稿を目にして、思わず感涙してしまいそうになってしまう。
決して綺麗な原稿という訳ではなく、修正液が大量に使われている。でも、それがゆえにとても生々しく、躍動的に原稿を描いていた姿が想像できる。正直、この1枚を見るためだけでも、ここを訪れる価値があると思う。
ほかにも、テレビアニメの絵コンテ、中学時代の昆虫標本の写生(複製)、デビュー作となる『マァチャンの日記帳』(複製)など、なかなか見ることができない貴重な品々が並んでいる。
手塚治虫記念館では、手塚作品をもちろん大量に見ることができる。
2階にはトラックボールがセットされたTVモニターが並んでおり、ひとつひとつが『情報・アニメ検索機』になっていて、2000年までに制作された手塚治虫関連のアニメを視聴することができる。レンタルビデオ店にはなかなか置いていない作品も多いので、ファンは必見だ。
1階のミニシアター『アトムビジョン』では記念館オリジナルの作品を月替りで上映している。天井に描かれている美麗な手塚キャラクターイラストは一見の価値あり。ミニシアター前に設置された『メッセージ機』では、『手塚治虫大いに語る』と『手塚治虫を語る』が常時上映されている。
そしてライブラリーでは、手塚治虫の書籍約2000冊を自由に読むことができる。
全部読破するには何回足を運べばいいのだろうか……? 近所だったら、通うんだけどな。ちなみに受付では、3回来館すると次の1回が無料になるパスポートが発行されるので、通う人には嬉しい限りだ。
また、2階には貴重な初版本を展示してあるコーナー、『ジャングル大帝』をイメージした喫茶コーナー『ジャングルカフェ』、 年に3回さまざまな企画展が開催されている『企画展示室』、グッズなどを販売している『ミュージアムショップ』がある。ミュージアムショップでは、記念館限定の商品も多いので要チェックだ。個人的には、ピノコが描かれたマグカップがかわいくて欲しかった。
隠れ家的な雰囲気の地下1階では、手塚治虫の昆虫日記に出てくる宝塚をジオラマ化した『手塚治虫昆虫日記の宝塚』と、実際にアニメ制作をすることができる『アニメ工房』がある。……と、駆け足で回ってきた手塚治虫記念館だが、正直それほど大きな建物ではない。ただ漫然とグルっと回れば10分もかからないだろう。
ただ、ひとつ一つを丁寧に見て回ったらいくら時間があっても足りないくらいだ。手塚治虫のマンガファンなら、一度と言わず何度も足を運んでおきたい場所なのである。
(文/村田らむ)
約2000冊の本が読み放題!お宝の宝庫だった手塚治虫記念館に行ってみた!のページです。おたぽるは、マンガ&ラノベ、村田らむ、手塚治虫記念館、日本マンガ家記念館巡りの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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