ダイナミックなアクションと端正な作劇が共存する、まさに“神回”!『ガンダム Gのレコンギスタ』

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『ガンダム Gのレコンギスタ
第10話「テリトリィ脱出」

【今週の極私的見どころ!】
『進撃の巨人』で一躍名を馳せた荒木哲郎氏が演出・絵コンテを手掛けるということで、放送前から注目を集めていた今回。いざ蓋を開けてみれば、アクの強い富野演出とは一味違う、ダイナミックなアクションと複雑なストーリーをわかりやすく整理する作劇が共存する、まさに“神回”でした。序盤のクライマックスと呼べる注目のエピソードです。

【今週のおすすめ度】
★★★★★
(前回のあらすじはこちら

 キャピタルテリトリィ、スコード教、アメリア国の重鎮が集結し、結果的にビッグ対談が実現してしまった前回からの続きとなる第10話。

 キャピタルガードのケルベス(CV:須田祐介)に連行された(というポーズ?)ベルリ(CV:石井マーク)たちは、教会から脱出します。その一方、教会でのスルガン総監(CV:木下浩之)とクンパ大佐(CV:広瀬彰男)の会話で、以前よりアメリアの軍備増強が問題視されていたことや、月の向こう側にあるというコロニー・トワサンガの存在は各国首脳の間では公然の存在となっていたこと。さらにその情報によって、タブーが機能しなくなりつつあったことらしきことが明らかになります。物語の始まるはるか以前から、各国間には火種がくすぶっていた模様です。

 その頃ベルリたちは、ケルベスの手引きでメガファウナへと帰還の途についていました。その道中でキャピタルアーミィが、ラライヤ(CV:福井裕佳梨)やG-セルフを手中に収めようと暗躍していることを知らされます。どうやらケルベスの行動は、アーミィに対する先手という意味があったのでしょう。アーミィとガードの確執は決定的な様子。なんだか『機動戦士Zガンダム』の地球連邦軍とティターンズの内ゲバを思わせます。

 直後、キャピタルテリトリィ首相とキャピタルガードのベッカー(CV:姫野惠二)が軍人を前に大演説。キャピタルアーミィの“ティターンズ化”はもはや確実。新型MS・ウーシアも出撃に備えてズラリと並びます。重々しいBGMも相まって、まさに軍靴の音が聞こえる感がヤバいです。にしても、ベッカーのテンションの高さがすごいです。こんなに演説をぶったりするキャラだったでしょうか。そんな彼(の乗るウーシア)に熱い視線を送るキャラが一人。……それはチア部隊の男の娘(CV:千葉啓介)です。意外なフラグが立ちました! 彼女(彼?)の恋の行方にも注目ですね!

 さて、無事にメガファウナに戻ったベルリたち。これから一行は宇宙に脱出する準備にかかるのですが、ここでもケルベスのナイスキャラぶりが発揮されます。メガファウナにG-セルフ用の新装備・高トルクパックを持ち込むという、デキる男ぶりを見せつけたかと思えば、「教官」と呼ぶベルリに顔を近づけて「教官じゃない、戦友だよ!」とじゃれてみたりと大活躍。一部女性ファンの間では、「ケルベス×ベルリ」もありだな、という話題もちらほら出ている模様。こりゃ薄い本が捗りますな。

 また、ラライヤの動きも気になります。当初は赤子のような反応しかできなかった彼女ですが、いつの間にか元気に走り回り、普通に会話できるほどまでに言語能力が回復しています。G-セルフに反応するのは相変わらずですが、今後宇宙に上がることで彼女は完全に回復するのでしょうか。

『伝説巨神イデオン発動篇』のコスモとカーシャを思わせる、ベルリとノレド(CV:寿美菜子)の頭ごっつんシーンなど、「富野アニメマニアの荒木氏が仕込んだ小ネタかな?」と思わせる、細かい演出も光ります。

 Bパートに入ると、ついに脱出を試みるメガファウナとそれを追うウーシア部隊の戦闘がスタートです。メガファウナはアメリア軍とキャピタルガードが共同戦線を張り、キャピタルアーミィを迎撃。G-セルフは、高トルクパックの調整に手こずっている様子です。

 まずここの見所は、やはり『進撃の巨人』を制作したWIT STUDIOが外注で担当した(と思わせる)迫力あふれるMSバトルです。巨大感、重量感、スピード感がフィルム全体ににじみ出ていて、これまでの『ガンダム』シリーズにはあまりない雰囲気の絵になっている気がします。特に「遅れてくるヒーロー」を地でいく今回のG-セルフの描写は「重厚な装甲を付けたMSを、高出力のブースターで強引に素早く動かす」という高トルクパックならではのもの。G-セルフの動きについていけず、一瞬遅れるカメラワークやすれ違いざまに敵MSをビームサーベルで切りつけるシーンはストップモーションになる演出など、ケレン味あふれるシーンが続出。

 極めつけは、ベッカーの乗るウーシアを力いっぱい殴りつけて思い切り吹き飛ばしたかと思うと、吹っ飛ぶウーシアを追い越して反対方向に再度殴り飛ばす、という『逆襲のシャア』のνガンダムVS.サザビーを上回るスーパープロレスです。ノリは完全に巨人エレンの肉弾戦。これには、視聴者コメントも大盛り上がり。

 また、「恋を知った」とアイーダ(CV:嶋村侑)への思いを自覚したベルリの“王子様”ぶりにも注目です。アイーダのピンチを救出する彼の活躍もさることながら、救出後、アイーダの乗るG-アルケインを背負ってメガファウナに戻るシーンでは、堂々とするベルリと彼を頼もしく感じている雰囲気のアイーダの間に流れる“いい雰囲気”に胸がキュンキュンします。

 古き良き時代のアニメを思わせる『Gレコ』のクラシカル感と、スピード感重視な現在のアニメの魅力が絶妙にブレンドされた今回は、神回と呼ぶにふさわしいエピソードでしょう。

 さて、宇宙ではクンパ大佐とマスク部隊が合流。地上では、宇宙に上がったメガファウナを追って、キャピタルアーミィの戦艦・スペースガランデンが出撃といった具合に、キャピタルテリトリィではますます不穏な空気が流れ始めます。

 次回はついに宇宙戦争が始まってしまうようです。物語がついに大きな動きを見える予感を感じさせつつ、第10話は終了です。

 最後になりますが、ポンコツ姫様ことアイーダは今週も(いろんな意味で)大活躍。出撃の準備をしようとすれば、ドニエル(CV:辻親八)からやんわりと止められて「私は補欠ですか!」と怒り、ベルリから「突撃娘」と呼ばれてしまうシーンは、ネット上でも大盛り上がり。

 また、妙になまめかしいラインで描かれる姫様の愛機・G-アルケインにも注目です。出撃前の歩行シーンは、妙に身のこなしがセクシーだし、ウーシアに羽交い絞めにされるシーンは、まるで暴漢に襲われる女性そのもの。ロボットは身体の延長・拡張であるとはよく言われますが、その意味がよくわかるシーンが続出します。極めつけは戦闘後、G-セルフの横でスーツのチャックを股間までおろした姫様の、ボディのなんとも言えない艶めかしさ! ベルリ君じゃなくとも思わず見入ってしまいます。ポンコツだけど、エロかわいい姫様から目が離せません!!

 ちなみに次回予告最後の決めゼリフは「足の下は地球なんだぞ!」でした。
(文/受動 明日)

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