冬コミでの影響は…? 単なる処分で終わらないアニメーター炎上騒動の波紋

1411_ig.jpgProduction I.G公式サイトより。大々的に謝罪文を掲載することとなった。

『黒子のバスケ』や『ハイキュー!!』といった作品に携わっていたアニメーター・黒岩裕美氏が、自身のTwitterで「くろこっちの設定失くした」「これが黒◯じゃなかったらなあ~~~」といったツイートや腐女子向けのイラストを公開し、批判を浴びた。この件について、黒岩氏に業務を発注していた制作会社・Production I.Gは黒岩氏への業務発注の停止と共に、同社取締役・後藤隆幸氏に監督責任があるとして、役員報酬を10%を返上するといった厳しい処分を発表した。

 しかし、この問題はアニメーターの同人活動そのものへも影響を及ぼすことになりそうだ。

 Production I.Gが公開した謝罪文の中で多くを割いているのは、黒岩氏の同人活動に関する部分。これについて、同社は次のように記す。

「一部で風評が出ております、個別作品における無許諾同人誌の発売を企画していることに関しては、本人に事実確認を行いそのような事実はないことを確認しております。ツイッター上でのそれに類するツイートを行った事実はございましたが、具体的に同人誌やグッズなどの作成を行ってはおりませんでした。」(Production I.G公式HP内アニメーター黒岩裕美氏のSNSにおける不適切な発言及び画像の掲載に関してのお詫びより引用)

 黒岩氏の一連のツイートから生まれた疑念とは、同氏が作画監督として携わっている『ハイキュー!!』の同人誌を制作しているのではないかというもの。黒岩氏は一連のツイートの中で「サークルカット描いたりとかそんな時間もはや…(;_;)まず腐女子本の原稿がヤバいんだがもうどうすれば」とも記しているため、Production I.Gの発表に多くの人が疑念を感じたのは想像に難くない。

 日本最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」では、近年いわゆる“アニメーター島”は人気ジャンルのひとつ。アニメーターたちによる同人誌の中には、作監修正集や業務で関わっている作品のイラストや二次創作も見受けられる。自分の成果とはいえ、仕事で制作した資料を勝手に販売したり、類似商品、ありていにいえば海賊版を制作するのは、社会的にはほぼ許されない行為である。しかし、これまでのアニメ業界では、アニメーターのこうした同人活動は黙認されてきた。あるアニメ制作会社社員は語る。

「これまで多くの会社は、給与も少ないアニメーターへのボーナスだと考えて、同人活動を黙認してきました。しかし、公式に携わる人物が大っぴらに同人活動に触れてしまうと、黙認するわけにはいかなくなるでしょう……」

 Production I.Gは、謝罪文の中で次のようにも記している。

「公式に作品にかかわるスタッフが、このような疑念をいだかせるような発言をすべきではなく、再度スタッフへの注意喚起を行っていく所存でございます。」(Production I.G公式HP内アニメーター黒岩裕美氏のSNSにおける不適切な発言及び画像の掲載に関してのお詫びより引用)

 近年では、TPPによる著作権法違反の非親告罪化の懸念など、同人がはらむ“危うさ”が浮き彫りになることも多い。冬コミの入稿時期も近づいてきたが、今回の騒動は今後も尾を引くことになりそうだ。
(文/中目黒日向子)

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