『アオイホノオ』から20年後の大阪芸大生は今?『ロボットガールズZ』監督・博史池畠インタビュー【後編】

――7月期にテレビ東京で放送されたドラマ『アオイホノオ』のBlu-rayとDVDが、11月19日に発売された。本作は島本和彦さんの同名マンガを原作としているが、“ダイコンフィルム”の制作など、島本さんが大阪芸術大学に在学していた1980年代初頭の時代背景や出来事が盛り込まれた作品として注目を集めている。

 その時代から20年後、とある人物が大阪芸大に在籍していた。後にアニメ『ロボットガールズZ』の監督となる男、博史池畠さんである。今年、その『ロボットガールズZ』でアニメ監督デビューを果たした池畠監督に、後編では監督デビューまでの出来事について伺っていく。なお後編には引き続き前編に出てきた人物が登場するので、前編から読んでおいてほしい。

【前編】はこちらから

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■「面白い」とは何かを教えてくれた先輩・綾野智章さん 自身の卒業後に続く後輩

 池畠さんは大阪芸大でS研の部長になるが、影響を受けた先輩がいる。CASの部長も務めた綾野智章さんだ。綾野さんは現在、『ストリートファイターIV』などカプコンのプロデューサーとして知られている。

池畠「綾野さんの何がすごいかって、それほどアニメとかマンガに興味がないのにCASにいたことです。山賀博之さんタイプですが、いざ周りの影響を受けてアニメを作り出すと、普通のアニメオタクがしない発想から、今まで見たことがない作品ができてました。妙にカリスマもあって、4人兄弟の長男でもあるから後輩の面倒見もよくて、自然体でいい感じです。僕は90年代宝島系のサブカルに染まってて、『物事はディープな方向に知るべきで、浅いものは面白くない』みたいな感じだったんですけど。

 綾野さんはテレビはバラエティ番組しか見ない、マンガは『あしたのジョー』と『Dr.スランプ』しか知らない、モーニング娘。と携帯電話が大好きっていう、僕のそれまでの概念からすれば面白くないはずの人間なのに、大学の誰よりも面白かったんです。『こういう面白さもあるんだ! 大学生になっても“ウンコチンコ”って言ってもいいんだ!』って。建築学科なのに卒業制作もアニメでした。建築模型とコンセプトでプレゼンをするところを模型の代わりにアニメを出すなんて……。綾野さんは技術的には大したことないんですよ。絵も上手いのか下手なのかわからないし(笑)。

 綾野さんが卒業して大学院に上がったことで、学生の間で院に上がるブームが起きたんですが、綾野さんはそれを契機にCASの部長になりました。学部時代には部長をやってないんですけど、修士課程の修了までという猶予があったから部長になる資格が発生したんです。僕も学部時代が楽しかったんで、親に『院に行かせてくれ』って言ったらダメだと言われました(山岸たかおさんは院に上がった)。院に上がってたら、ちょっと変わってたかも。アニメ業界にはいないかもしれないです。

 今はどうだか知りませんけど、大阪芸大はとにかく映像さえ提出すれば卒業はできました。卒業制作展に行って衝撃を受けたのは『1、2のサンセット』って作品で、ただ夕陽を5分くらい撮ってるだけのがありましたね。『これはこういう意図がある!』って言えば済むけど、『ダメだ! もう卒業だから作らないと! それっぽいタイトルつけて作品ってことにしよう!』って心境だと思うので、コンセプトアートかすらもわかりません(笑)」

 後輩としてはS研ではアニメ演出家の井端義秀さんなど、CASではイラストレーターの入地有海さんがなどがいる。「CGアニメコンテスト」では、井端さんは第17回に『夏と空と僕らの未来』で映像賞、入地さんは第18回に『魔法の椅子』で佳作となった。

 一方で、石川直哉さんは第16回に『どっちもメイド』で入選、山岸さんは第17回に『怪奇メタロー』で外伝入選および第20回に『胃の三太郎』で外伝大賞、池畠さんは第18回に『スペード5.2』で外伝大賞および第20回に『アメリカ大統領アメリちゃん』で入選と、卒業後も自主制作を続けている。

 井端さん、入地さん以降の後輩では、CAS出身の川尻将由さんがいる。川尻さんは「CGアニメコンテスト」第21回に『ニッポニテスの夏』で入選。テレビシリーズ『ステラ女学院高等科C3部』(13年)で監督に抜擢されたことでも驚かれたが、『ニッポニテスの夏』と同様にサバイバルゲームを題材とした作品なので、うなづける部分もある。

池畠「川尻さんとは、後輩同士の飲み会に招かれた時に会いました。(GAINAX社長の)山賀さんがCGスタジオ・吉祥寺トロンを作るというので、(『ステラ』を企画した)あさおよしのりさんが映像学科で教えている関係で呼ばれた1人ですね」

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