海外の方が盛り上がっている!? NIGOROの 楢村匠氏に聞く、日本における“インディーゲーム”の注目度と課題【後編】

――今回、「東京ゲームショウ」では本会場にインディーゲームブースが設置されましたが、来場者の反応はいかがでしたか?

楢村 「東京ゲームショウ」が開幕した瞬間、ダッシュで目的のブースに走るお客さんがいっぱいいる中、わざわざインディーゲームブースに来てくれる人とかも出始めています。だから、開催すればするほど「よかったな」と思えることは多いですよね。特に僕らは、関西で活動しているため、関東のファンとふれあう機会がそうそうありません。そういう意味でも「東京ゲームショウ」には参加し続けたいと思っています。あとは、去年行なった、ゲーム実況とインディーゲームを合わせたイベントがきっかけで、ブースに来て遊んでくれた人もいました。

――そのような中で、課題や悩みなどは生まれたりしましたか?

楢村 うちの作品はプレイ時間が長いので、ブースに30分くらいいる人もいました(笑)。本当だったら「東京ゲームショウ」専用の3分くらいで終わるバージョンとかを用意しなくてはいけなかったりするのですが、少人数のため、それを作る手間もかかりますしね……。また、インディーゲームが「東京ゲームショウ」で取り上げられたとはいえ、多くの企業が集まっているため、1つのブースが狭いんですよね。お客さんに遊んでもらうには、ちょっと狭いなあという感じです。去年は本会場から離れていたので注目度が低く、それはそれで不満だったんですが、こういった問題は去年の方が少なかったなあと。難しいところですね。本会場でなくても多くの人が来るぐらいが、一番いいんでしょうけど……。また、本会場にいると、自分たちのゲーム音量を最大にしても、周りのブースの音が大きくて聞こえないという悩みもありました。逆にヘッドホンを用意したら、説明を聞いてもらえないし(笑)。こういうのは、イベントに参加しないと見えないことです。

――今後の「INDIE STREAM FES」やインディーゲームブースの展開を教えてください。

楢村 今、「INDIE STREAM FES」は、開発者とか関係者ばかりですが、ファンも入って見られるようにするとかは、いつかやりたいですね。それこそ、“ファンと開発者が近いのが売り”という点もあるので、なんとかしたいです。うちのブースに来て、僕たちとずっと話している人とかもいますから。大手の場合、作っている人なんかは出てきませんよね。

――本当にインディーゲームはユーザーとの距離が近いと思います。

楢村 今回は、ゲームミュージック作曲家として活動しているTatsuya Nabeta氏(https://soundcloud.com/hasu2010)にも「NIGORO」ブースの手伝いをしていただきましたが、うちの場合、チーム全員が関西の方にいるので、東京に行くと人手が足りないのでへルパーを頼みます。ヘルパーさんはだいたいうちの元ファンや実況者です。うちでライター業、文章を書くのを任せた外注の人は、うちのゲームの攻略サイトを作ってくれた人だったり、デバッガーをお願いしたのはうちのゲームのRTA(リアルタイムアタック)日本一だったりします。ユーザーを巻き込んでやっている方ですが、それでも数人レベルで、もっともっとこういうのを広めたいとは思っています。

――では次世代のクリエイターに一言お願いします。

楢村 「厳しいから目指すな」と僕は夢見る若者に言うのですが、そろそろ周りにも言うなと言われています(笑)。「東京ゲームショウ」の期間中も、「僕もゲームを作ろうと思います」という人がいましたが、画・設定・世界観とかを説明する人よりも、実際に動くものを持ってくる人の方が印象に残っています。ゲームは作るのが大変で、時間もかかります。なので、動くものを持ってきた人は「この人は作れる」と思います。目指す、目指さないの前に “ゲームは作って動いて遊んでもらってなんぼ”ですから、“自分に向いているのかどうか”も含めて、まずは作ることから始めてみるといいと思います。根本的に向いていない人とかもいると思いますし、自分がどういうものを作れるのかも、作ってみないと絶対わからないので。

――なるほど。最後に、今後の野望などを聞かせていただければと思います。

楢村 「出せば安定!」くらい作品が売れてくれるのが一番ですね。毎回1作ごとに手探りのような感じですから、売れば次の作品を作る余裕がたっぷりあるくらいに安定したらうれしいです(笑)。そうなるためには、世界でも日本でも「あ! NIGOROのゲームだ!」と飛びついてくれる人が増えるようにしないといけないので難しいですが、もっともっと世界のイベントとかに出したいですよね。海外に行って刺激を受けると、ゲームのアイディアも浮かびますしね。

 また、自分たちの活動自体もコンテンツとして扱っているので、注目してもらえるとうれしいです。記事もそうですが、ゲーム作品、活動自体も追いかけてくれるとうれしいというか。チームの人数が4人と少ないので、2年間作っているとその間沈黙になってしまいますが、見てくれている人を面白がらせようとも思っていますので、「追いかけているだけでも面白い」というふうにするため、表に出て、いい意味で期待を裏切るようなことをやり続けたいです。

――たくさんのお話、本当にありがとうございました。

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 NIGOROの楢村匠氏から“インディーゲーム”について非常に深く、さらにちょっとした裏話まで、本当にさまざまなお話を聞かせていただきました。いろいろなハード向けにリリースされている“インディーゲーム”。その楽しさを知るため、皆さんも一度触れてみてはいかがでしょうか。
(取材・構成・文/らくしゅみっくす)

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らくしゅみっくす
ゲームとピアノが好きなライター。中でもSTGが大好きで、プレイのみならず、ゲーム音楽のピアノ演奏も行う。

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