海外の方が盛り上がっている!? NIGOROの 楢村匠氏に聞く、日本における“インディーゲーム”の注目度と課題【後編】

――なるほど。

楢村 ただ、日本もアメリカも大金を使って作品を作るため、「売れないと困る」といった閉塞感は一緒です。アメリカの場合、それこそハリウッドクラスの資金を投入してゲームを作っていますし。けれど、日本の企業の場合、新しい方向への切り替えが遅かったと思います。僕たちが最初にインディーゲームをリリースした「Wiiウェア」【編注:Wii専用のダウンロードソフト】などといったものがありましたが、日本だとまだダウンロード販売自体が下火だったんです。けれど特に任天堂がバックアップするというわけでもなかったため、僕たちが2年間ゲームを開発している間に、「Wiiウェア」が完全に盛り下がってしまいました。でも北米やヨーロッパだと、日本の「Wiiウェア」で新作が全然出なくなった頃でも、ばんばん新作が出ていたんです。また、アメリカの任天堂は新作が出たら、大手・インディー関係なく、「新作が出ました」とTwitterで宣伝していましたが、日本ではそういうのは全然ありませんでした。そういうところでも、インディーゲームに対する考え方が違うと感じました。

――日本と海外とでは、インディーゲームに対する見方が全然違ったのですね。

楢村 だからといって悔やんでいても変わりません。僕たちみたいにゲームを売ることを仕事にしようとすると、日本だけじゃなく海外にまで売らないといけないわけです。なので翻訳会社と協力して、海外のメディアに取材してもらったり、海外の人に依頼してイベントなどに展示してもらったりとか、いろいろやっています。自分たちで動かないと、何も変わらないですから。

――やはり、海外にも売り込まなければならない状態なのでしょうか?

楢村 日本が悪いというわけではないですが、動きが鈍いといいますか、世界に対して後追いになりがちだなと。このため、日本だけですと販売数が必要な数になりにくいので、シェアの大きい海外での販売も必要になってくるんですよね。けれど海外のライターさんやクリエイターさんなどは、日本のインディーゲームに注目しているんですよ。

――そうなんですか!?

楢村 アメリカのインディーゲームクリエイターは、幼少の頃、『スーパーマリオブラザーズ』などファミコン時代の日本のゲームをプレイして育っているんです。あの頃のゲーム業界は日本の一強という状態でした。彼らはそれに憧れて今ゲームを制作しているし、日本に対する憧れもすごく強いんですよ。そんな彼らに「日本でインディーゲームが全然ニュースになってないけど、どうしたの?」などといったことはよく言われます。

――海外の方が、インディーゲームに注目しているんですね。

楢村 日本のインディーゲームは、日本のメディアより海外のメディアの方が注目してくれている気がします。けど、伝えるためには英語ができなきゃいけない、現地に行かないといけない、ということで苦労は絶えませんが(笑)。

■日本のイベントなのに主催者は海外の人!?

――日本でインディーゲームを広める動きは現在あるのでしょうか?

楢村 いろいろありますが、去年から関西で開催されている「BitSummit」がその一つです。これはインディーゲームだけを集めたイベントで、海外のメディアをまとめて集めて呼んでいます。あと実は、このイベントの主催者は海外の方なんですよ。イベントで集まっているインディーゲームは日本の作品なのに。ほかに似たようなケースとしては、日本のインディーゲーム配信会社プレイズムも、立ち上げたのはスペイン人だということ。ちょっと悲しいけど、海外の方が熱心なんですよね。

――日本国内から発信して海外に広がる、というのではなく、日本国内が発祥なのに、海外経由で日本国内に戻ってくるとは、なんとも言えないところがあります。

楢村 そうなんです。あとは、海外でリリースされた日本のインディーゲームは何点かあって。けど、海外のパブリッシャーが権利を持っているため日本語版がないといった例も多々あるんです。だから日本の企業がインディーゲームに注目し、作品に目を付けようって頃には、もう海外の企業に買われてしまっているんです。

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