Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第19回

少女マンガなのに恋愛という概念がないのか……!? 『動物のお医者さん』が与えてくれる安心感

――今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

141116_rum.jpg(イラスト/村田らむ)

 いきなり宣伝っぽくて申し訳ないのだが、僕は今年2冊写真集を出版させていただいた。1冊はハムスターのお尻の写真を集めた『元祖ハムケツ』、もう1冊はフクロモモンガの写真を集めた『フクモモ』(共に有峰書店新社)である。

 ネットの書き込みでは、

「撮影が終わった後どうしたのか心配。処分したのか?」

なんて書かれていた。もちろん撮影が終わった後は、スタッフみんなで美味しくいただきました……ワケはなく、そのまま僕の家にいる。つまりペットにしたワケである。

 小動物はこれまで飼ったことがなかったので、インターネットや本で調べながら世話をしている。フクロモモンガの脳みそは小指ほどしかないのだから、よっぽど馬鹿だろうと思っていたが、これがなかなかいろいろな表情を見せてくる。

「動物の感情なんかわからない。人間が思い込んでいるだけだよ」

なんて得意げに言っている人がいるけど、実際動物と接していると、大体何を考えているかくらいはわかるのだ。

 一番分かりやすいのは“怒り”の感情で、ハムスターやフクロモモンガはもちろん、ヘビや虫ですら分かると思う。あとはリラックスしてるとか、エサが食べれて嬉しいとか、遊びたいとか……それくらいである。人間よりずっと単純だ。動物の感情が分からないなら、当然、より複雑な人間の感情も分からないはずである。そういえば、「動物の感情なんかわからない」って言ってる人って、空気が読めないというか、変人っぽい人が多い気がする……というのは僕の気のせいだろうか?

 ミルワーム(生きた幼虫)を給餌しようとしていると、その気配に気づいたフクロモモンガがこっちをワクワクした目で見てくる。その様子を見るたびに、モモンガの顔の横に明朝体で

「エサくれるの?」

と、書き文字が浮かんでくる気がする。これは多分、マンガ『動物のお医者さん』(白泉社)の影響だ。

『動物のお医者さん』を知ったのは、中学時代に聞いていたオールナイトニッポン(深夜のラジオ番組。『動物のお医者さん』が始まった1987年は中島みゆき、とんねるず、ビートたけし……とそうそうたるメンバーがDJをしていた)に少女マンガ誌「花とゆめ」(白泉社)のCMが入っていて、『ぼくの地球を守って』や、『ここはグリーン・ウッド』などと一緒に紹介されていたからだった。

 当時は少女マンガなんでまったく読んでいなかった。あのあふれんばかりの感情の波が苦手だったのである。少女マンガで獣医が主人公、ペットにシベリアンハスキーと聞いただけで、

「獣医大を舞台にした、涙あり恋愛ありの少女マンガだな……」

と勝手に想像して、敬遠していた。

 そういう訳で、初めて『動物のお医者さん』を読んだのは大学の時だった。すでに連載は終わっていて、すでに文庫版が出ていた。

 1話目を読んだ時点でハマってしまい、一気に最後まで読んだ。そして、今までで1番、繰り返し読んだ少女マンガになった。

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