姫乃たまの耳の痛い話 第15回

「男性に喜んでもらうという点では風俗嬢も同じ」収入のために吉原に足を踏み入れたアイドルの誓い

2014.11.16

――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛〜い”業界事情をレポートします。

お金は大事ですよね。

 東京都は吉原、道ですれ違うのは散歩をしている老人と、ボーイが時々エサをあげている猫だけです。1日に2000人もの女性が働いているなんてとても思えない静けさの中で、私は彼女と会いました。彼女もまた、2000人の女性の中のひとりで、「地下アイドルです、一応……」と、自己紹介する私を懐かしそうな目で見つめていました。

 私は図々しく5年も地下アイドルを自称しておいて、なお自己紹介をするのが恥ずかしいのです。つい言い訳がましく、「一応」と付け加える癖が抜けません。

 一方で、彼女のアイドル生活は順調そのものでした。知名度が右肩上がりの勢いあるアイドルグループに所属し、CDをリリースすれば20位以内には必ずチャートインしていました。「このまま行けば有名アイドル間違いなし」と思われた彼女の人生を変えたのは、“収入”だったそうです。

 知名度は確実にあがり、CDも売れるようになってきましたが、収入はほぼありませんでした。

「仕方ないんですよ。運営だって時間もお金も惜しみなくかけてくれてて、無駄遣いしてたわけじゃないし」

 もう少し頑張れば、アイドルの収入だけで生活していけるかもしれません。しかしメンバーの多さを思うと、売れた後の収入もあまり期待できませんでした。

 グループのメンバーの中には、芸能人が多く在籍するキャバクラでこっそり働いている子もいました。しかし話を聞いてみると、人気があるのはモデルやグラビアアイドルの卵だけで、歌って踊るアイドルはあまり扱いが良くないようでした。

 自己顕示欲もやる気も人一倍強かった彼女が、収入と自分の性格を考慮して選んだのが風俗嬢の道でした。

 若くてルックスがよく、やる気もあって手抜きをしない彼女は、アイドルの時と同じように、風俗嬢の道でもすぐに人気になりました。

「男性に喜んでもらうっていう点では、アイドルと同じですからね」

 風俗嬢として、彼女はすっかり充実していました。

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