「『鷹の爪』は監督から監修へ」FROGMAN、人生の転機となった『菅井君と家族石』から10周年インタビュー!【中編】

――「島根にパソコンなんてあるわけないじゃん」。2000年公開のアニメ映画『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』のセリフが面白がられる中、04年、実際に島根県でパソコンを使って制作された“あるショートアニメ”がネットを中心にヒットした。島根県に暮らす赤貧の黒人家族をコミカルに描いた『菅井君と家族石』。この作者はFROGMAN、今年3月に東証マザーズに上場した映像コンテンツ制作会社・DLEの取締役でもある。前編では『菅井君と家族石』からの10年を振り返ってもらったが、【中編】ではFROGMANさんの今とこれからを伺っていく。

【前編】はこちらから

■「チャンネル5.5」は本編を計画中! 『監督不行届』アニメ化の経緯は?

 現在、FROGMANさんは有名アニメ原作を“無視した”アニメ化プロジェクト「チャンネル5.5」を公開している。

1411_frogmanint_3.jpgFROGMANさん。

FROGMAN「『チャンネル5.5』外部参照は、博報堂がDLEと何かやりませんかってことでスタートしたんです。前に博報堂と東映アニメーションと組んだ『京浜家族』という作品があって、コンテンツとしての評価は高く、続編を作りたかった。けれど、携帯だけの限定配信といった形だったりで、ビジネスとしてはうまくいかず、作るお金がないんですよね。DLEが(お金を出して)作ってもいいんですけど、会社なのでどこかからお金を調達しなきゃいけない。僕が自分で動いたら動いただけ赤字になる。ただ、博報堂がDLEのクリエイティビティをリスペクトしてくれて、『やっぱりもう一回何か作りたい』と言ってくれたので、スタートした企画が『チャンネル5.5』なんですよ」

「チャンネル5.5」では、数々の名作アニメを次々と“迷作”化している。最近でも『攻殻機動隊ARISE』を「“降格”機動隊」や「“甲殻類”機動隊」などに改変したり、『のだめカンタービレ』を「のだめガンたーれ」にしている。ぶっ飛んだ趣旨のプロジェクトとの触れ込みで話題になっているが、最後にカロリーメイトのCMにつなげているので、同プロジェクトの意図がわかる人にはわかるかもしれない。

FROGMAN「このプロジェクトはスタートがいきなりカロリーメイトとの付き合いから始まったので、ちゃんとした『チャンネル5.5』の本編はないんですよ。だからいつどこでどうやって作ろうかなって考えてます。本格的に始まったら面白いですよ。今は新規の企画、作ろうと思ってるネタがたくさんあるんですよ、僕。細かい作品まで言うと20くらいある。実際に作りだそうとしている作品が4本くらいあって、今年1年くらいで見せていけたらいいなと」

 今年の春には安野モヨコさんのマンガ『監督不行届』をDLEがアニメ化。このアニメ化にはFROGMANさんと「鷹の爪」が大きく関わっているとのこと。制作の経緯については作品本編内でも触れられているが、改めて話を振ると……。

FROGMAN「(原作マンガを描いている)安野モヨコさんが『秘密結社 鷹の爪』を好きだったというのがあって、お会いした際に『監督不行届』をアニメ化しませんか? と提案したら『面白いですね。やりましょう』と【編注:『監督不行届』監督のDLE谷東さんが同席していた】。僕自身、マンガやアニメは見ないんですが、そういう話になったので『監督不行届』と『働きマン』を読んだんですよ。そしたら面白くて、大人にも子供にも面白いマンガでもあるなって。

 ただ『新世紀エヴァンゲリオン』はちゃんと見てなくて、(安野さんの夫)庵野秀明監督に『僕がこうやってFlashで(アニメを)作ってて不愉快じゃないですか?』って聞いたら、『ああ、なんとなく楽しやがってって思いましたけど、今はそう思わない』『(鷹の爪のキャラクター)吉田くんとコラボして夢のようです』って、言ってもらえたんです。最初は嫌われてたけど、庵野監督にそういうふうに言ってもらえるのは最高の褒め言葉だなぁと。それでちょっと庵野監督のこと好きになりました」

1411_frogmanint_kantoku.jpgアニメ『監督不行届』行き届きDVD-BOXは11月22日(いい夫婦の日)発売。

 なお『監督不行届』に関しては、監督は谷東さんが務めている。谷さんはDLE内でプロデューサーから転身し、監督としては『テルマエ・ロマエ』『ガラスの仮面ですが』などを担当してきた。先日公開された「日本アニメ(ーター)見本市」第2弾『HILL CLIMB GIRL』でも監督を務めている。FROGMANさんが『監督不行届』でハイパーメディアエグゼクティブディレクターを名乗っているのは、谷さんのほうがマンガやアニメに詳しいというのもあるとのこと。

FROGMAN「『監督不行届』に関しては、アニメに詳しい人のツボがあるかもしれない。『監督不行届』は僕が読んでも、モヨコさんの立場というか、オタクの部分を否定しながらもどんどんハマってく感じが面白い。自分の中にもオタク要素ってあるんじゃないかな、と感じるんですよ。『10年間、いい年して昼間っから絵を描いてて大丈夫かな』って思ってても、なんとなく耐えられてるから、僕自身、絵を描くのが好きなんじゃないかって」

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