「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」【2014年 秋】

あえて競合作品に戦いを挑んだ!? 皮肉の効いた学園ドタバタコメディ『異能バトルは日常系のなかで』【第一話レビュー】

――食欲の秋! スポーツの秋! そしてアニメの秋!! 秋の夜長をさらになが~く熱くする新番組からお気に入りを見つけ出そう! 9~10月より放映開始された2014秋の深夜アニメの第一話をレビューして、オススメ作品をコンセルジュする連載「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」! ※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

【10月6日(月)編】

■『異能バトルは日常系のなかで 
第1話 「異変 アルファ エピソード」

 SBクリエイティブ刊、GA文庫の望公太原作のライトノベルを、大塚雅彦総監督、高橋正典監督とアニメ制作・TRIGGER(トリガー)によりテレビアニメ化。

 泉光高校二年生・安藤寿来は、異能の力にあこがれてイタイ行動をする厨二病。しかしある日、本当に異能の力に覚醒してしまう。だが、実は文芸部の仲間たちも異能力者であったのだ! 壮大な学園バトルの日々がやって来るぞと喜んだものの、現実は何も起きない平穏な日々が続き、せっかくの能力も無駄なイタズラに使ってしまう。しかしこれで終わるはずがない……と、寿来はいつか来るであろう強大な敵との戦いに備えるのであった。

 70~80年代の熱血バトルものを大胆にオマージュして現代に蘇らせた『キルラキル』でセンセーショナルな反響をもたらした気鋭のアニメ制作会社トリガー。その最新作となるのが、本作『異能バトルは日常系のなかで』です。萌え要素を含んだコミカルタッチの学園能力バトルもの、という今までありがちなジャンルを選んだことが意外に思えますが、こうしたライバルぞろぞろ状態の競合作品にあえて挑む姿勢こそ、トリガーのチャレンジ魂を表しているのではないでしょうか?

 そんな決意を表すかのように、本作の総監督とシリーズ構成を務めるのは、同社取締役の大塚雅彦さん。『ぷちぷりユーシィ』の監督、『天元突破グレンラガン』『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』の副監督など、主にガイナックス作品で活躍したクリエイターです。取締役自らが勝負に打って出るという、その意気やよし!

「登場人物が異能に覚醒してるのに、世界の危機がやって来ないまま中二病的行動を続ける」という設定は、かなり皮肉っぽいシニカルな部分があるように感じます。寿来の異能が「黒焔(ダークアンドダーク)」という“名前はカッコいいが熱くない炎を出すだけ”という使えない能力だったり、文芸部の本棚に電撃文庫やファミ通文庫らしき背表紙が並んでいたりと、ジャンルに対するパロディを意識的に取り入れた楽屋オチ要素がその証しでしょう。

 そもそも本気のバトルものとして展開した場合、“相手の能力をコピーして奪える”という生徒会長・工藤美玲の異能が最強になってしまう気がしますし、本作はちょっとハーレム要素の入った学園ドタバタコメディとして楽しむのが正解だと思いました。

【こんな作品のファンにもオススメ】
中二病でも恋がしたい!』『めだかボックス

(文/出口ナオト)

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