『アルモニ』パッケージ発売で吉浦康裕監督を直撃! 劇中ラノベ『絶対零度のクラウディア』は出版可能!?

■パッケージの見どころ 劇中ラノベ『絶対零度のクラウディア』は出版可能!?

1411_harmonie2.jpg劇中のセリフに登場する「大橋のマック」ことマクドナルド西鉄大橋駅店。近所に吉浦監督の出身大学・九州大学の大橋キャンパス(芸術工学部)もある。

『アルモニ』コレクターズ・エディションの特典は、作画監督の碇谷敦さん描き下ろし三方背外箱に設定資料、スタッフインタビュー、エンディング楽曲歌詞&一部楽譜などの豪華ブックレットである。一方の映像特典も、吉浦監督による音声入りコンテムービー、スタッフインタビュー、エンディングのノンテロップバージョンと濃い。今回のようにパッケージにしたのも、パッケージが売れたら、また新たな展開が見えてくるからなのだろうか?

吉浦「それもありますけど、作品を出し続けないといけないので……。長編『サカサマのパテマ』(以下、パテマ)から間が空いて、しばらく次の作品をやる間にもう1作品、監督の名前を示す意味でも出しておきたいという意図があります。

『アルモニ』は、内容的にはファンアイテム感を大事にしました。なにしろ(尺が)25分ですから、商品会議の時から僕自身も『パテマ』以上に意見を出しました。あとスタッフインタビュー。クリエイターの声ということで、作画監督、作画監督補佐、美術監督、CG監督から、新人原画マンまで。かなり資料価値があります。設定資料の原案は茶山隆介さんが描いてます。アニメミライは絵コンテ精査もあるので、わりと自分では丁寧にコンテを描いたほうです。

 それから音声入りコンテムービーでは、僕が全キャラ声を当ててます。本作は掛け合いが複雑なので、声優さんでも対応しきれない部分が出てくると想定しました。『これを、タイミングを図るための概要にしてください』とお願いしたんです。公開しないつもりだったので、場合によっては効果音も僕がつけて、女性キャラも全て自分で演じて楽しかったです(笑)」

 女性キャラのセリフには「大橋のマック」が登場する。『アルモニ』のロケーションは、吉浦監督の出身高校・筑紫丘高校を想定しており、筑紫丘高校の最寄り駅が西鉄大橋駅なので、そんなセリフにも納得だろう。また、エンディング曲の作詞作曲を担当したトラボルタさんは『トエト』などで知られるボカロPで、歌唱のKOKIAさんは最近では『宇宙戦艦ヤマト2199』第4章のエンディングテーマソング「記憶の光」などで活躍している。

吉浦「場所自体は頭にあったんですが、実際のロケハン場所としては杉並高校です。制作はテレビアニメ『残響のテロル』と同時期だったので、一緒にロケハン回りましたよ。登場人物とかは結構、高校時代の友達がモデルです。

 曲のトラボルタさんとKOKIAさんですが、非常に良い布陣なので今後フィーチャーしてこうと思ってます。最初は既存の曲って話もあったんですけども、候補として薦められたボカロPの中からトラボルタさんの名前が出た時に、そういえば『トエト』が好きだったのを思い出して、みんなのうた的な曲を作る人だったら(作品に)合うから作詞もお願いしますと。

 KOKIAさんの紹介はウルトラスーパーピクチャーズ経由で、曲ができたのはコンテに入った最中ですね。早めに欲しいという要望は出しておいて、PVシーンのコンテは描かずにとっておいたんです。曲を聴くまでコンテを描きたくなかったので、先に学校のシーンを進めて、曲が来た段階で聴きこんで仕上げました。パッケージではノンクレジット版を見れますが、曲を単体で売るにはフルコーラス版がないからどうしようかな……。

 音楽の話ついでなんですが、今回は音周りがスムーズだったんですよ。歌もそうなんですが、劇伴も一発OKばっかりでした。アバンタイトルのイントロも『ピアノ使わずにサックスで実写映画みたいな感じで』って指示が通じましたし」

『アルモニ』に登場する小道具では『パテマ』のポスターなどもある中で、“絶クラ”こと『絶対零度のクラウディア』が気になるファンもいるに違いない。『絶クラ』は劇中で「テレビアニメ化決定!」とオビに書かれたライトノベルである。

吉浦「『絶クラ』もかなり作り込んでまして、そのまま出版できるものを作るというコンセプトで書いてもらって、細かい資料とか中の文章とか見える部分は徹底して作り込んでます。『アルモニ』は短編でも資料が膨大なので、ブックレットに載せるものには困らなかったんですが、逆に全て載せきれなかったものの1つです。

『絶クラ』はアニメ化を想定したストーリーのプロットも考えてるんですけど、劇中に、ちゃんと見ればテレビシリーズの“神回”と呼ばれるページも出してます。『絶クラ』の設定としてはボッチになればなるほど強くなるんですが、絆が深まると弱くなります(笑)。絶対零度はそういう能力なんです。
 
 夢の世界を描こうって話もあったんですが、下手に解説しちゃうとダメな気がしました。主人公・本城彰男は、共通点のない念願の女の子と会話できて接点を持てた。でもそれは勘違いの上に成り立っていて、『ごめんなさい!』と謝るか、嘘をつき続けてなんとか関係を保とうとするか、結構ドキドキのサスペンスになるんですよ。それは『アルモニ』として別の機会を頂ければ描きますし、アニメの制作もします。
 
 その代わりに隠し要素として、パッケージの外箱が真境名樹里で、穴が開いてて中を垣間見る仕掛けがあります。ちょっと変わった穴の開け方をしてるんですが、中には夢の世界が広がっている仕掛けとか。さらに言うなら、夢の世界のヒントが劇中小説みたいにパッケージのどこかに隠れてます」
 
 そして気になる次回作は……?

吉浦「現在制作中の次回作は短編アニメなんですが、自作の中で一番派手なものになると思います。アニメではありそうでなかったものを題材にしていて、今までの作風からすると、わりとビックリする方向性かもしれません。是非ご期待ください!」

 こちらの公開も楽しみだが、『アルモニ』でも続編や『絶対零度のクラウディア』のスピンオフなど、なんらかの形で実現すると面白いことになりそうである。
(取材・文/真狩祐志)

■『アルモニ』
http://www.kadokawa.co.jp/anime/harmonie/

『アルモニ』パッケージ発売で吉浦康裕監督を直撃! 劇中ラノベ『絶対零度のクラウディア』は出版可能!?のページです。おたぽるは、インタビューアニメ話題・騒動の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!