声優誌レビュー【特別編】「声優JUNON」

「JUNON」の声優ムック「声優JUNON」の中身は!? “声優個人”に迫る気概と、漂うビジネス臭さ

――昨今の声優人気に伴い、気がつけば声優専門誌も定期・不定期を合わせて10誌以上が刊行されている。そんな“声優誌 群雄割拠”の時代にあって、各誌はどのような記事・企画をとりあげているのだろうか? 主要な声優誌を中心に、目玉記事や気になる企画などを紹介しつつ、各誌の特徴を分析していく――

■別冊JUNON「声優JUNON
出版社…主婦と生活社
発売日…10月28日
価格……1400円+税

 10月28日、女性向け月刊誌「JUNON」の別冊として「声優JUNON」が発売された。本誌である「JUNON」は1973年創刊で、当初は総合ファッション誌だったが、80年代に路線変更。現在は俳優やアイドルを中心としたインタビュー記事を掲載しているほか、同誌主催の「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でも広く知られている。

 近年は「JUNON」本誌で声優が取り上げられる機会も増えており、そんななかで発売されたのが今回の「声優JUNON」というわけだ。判型は「声優グランプリ」をはじめとする声優専門誌と同じA4変形で、オールカラー100ページ。宮野真守梶裕貴寺島拓篤ゆいかおり三森すずこ……などの若手人気声優陣の写真&インタビューで構成されている。

 表紙&巻頭インタビューは宮野真守。本誌「JUNON」の表紙は今夏から非常にゴチャゴチャしたデザインを採用しているが、「声優JUNON」の表紙は清潔感溢れるスッキリしたデザインだ。月刊誌や週刊誌などの定期刊行誌の場合、しばしば雑誌名が写真に被っていることが多い。しかし、今回の「声優JUNON」はムックという一冊モノの扱いだからか、雑誌名がしっかりと見えているのも好印象だ。

 というか、なぜ定期刊行誌は誌名に写真が被ることが多いんですかね……。そう言えば数年前、「声優アニメディア」(以下、声アニ)の誌名フォントが「声優グランプリ」(以下、声グラ)に酷似していた時期があり、「アニメディア」なのか「グランプリ」なのか、瞬時には確認できなかった時代があったことを思い出した。

 さて、「声優JUNON」の表紙のスッキリ感を演出しているのは大きく2点、「煽り文句の少なさ」と「フォント」だろう。本誌で扱う声優陣の名前のみを整然と並べ、煽り文句と言えば雑誌名の右下に小さく添えられた「すべての声優ファンに。♡を込めて。」くらいだ。また、フォントはシンプルなゴシック体である。文字に影や枠などの装飾もなく、全体的にスタイリッシュな印象を受ける。声優専門誌の表紙は賑やかなデザインが多いので、もしかしたら差別化を図ったのかもしれない。

 そして気になる誌面もきわめてシンプルな構成だ。各声優の写真&インタビューが中心で、こちらは宮野をはじめ計10名が登場。また、注目の新人として梅原裕一郎内田雄馬安田梓司の3名が各1ページで紹介されており、過去に「JUNON」本紙で登場した下野紘島崎信長KENN福山潤の未公開カットも掲載されている。

 インタビュー内容は、声優としての価値観や私生活などが中心で、これが声優専門誌との最大の違いだろう。専門誌の場合、定期刊行という特徴からか、どうしても話題は出演作やCDリリースなど、直近の活動を軸に話を展開せざるを得ない。しかし「声優JUNON」は一般誌発のムックであるため、あくまでも声優個人の人となりを軸に置けるのだ。

 ただし……というか、だからこそ、全体的に記事のボリュームに物足りなさを感じてしまった。せっかく専門誌とは異なるアプローチで話を聞けるのだから、もっと記事にページを割いてもよかったと思う。記事はいずれも1ページで、あとは写真がメイン。撮影中心だったのだろうが、もう少し取材時間を確保できなかったのだろうか。

 とくにヒドかったのは巻頭で登場した宮野真守の記事で、話題の中心は初の海外レコーディングと近況の価値観。この話題に関しては問題ないが、とにかく改行が多すぎるのだ。ほぼ一文ごとに改行されており「書くことがないので、とりあえず改行連発で行数を稼いでみました」という印象を受けた。

 さきほど「専門誌では声優の人となりを中心に展開しづらい」と書いたが、それはあくまでも作品ありきの記事に限った話だ。「声グラ」の『DREAM♥DATE』や「声アニ」の『HAPPY BIRTHDAY』など、声優個人に焦点を置く企画も存在している。それだけに、「声優JUNON」ならではのカラーを存分に発揮してほしかった……。「あの『JUNON』が声優ムックを発売!」というインパクトは強かったが、結果として「現在の声優人気は、一般誌の編集部にも“ビジネス的”に注目されているんだね」程度の感想で落ち着いてしまう。

 今回の「声優JUNON」は「フォトマガジン」を謳っているので、編集部としては「そりゃ筋違いってモンですよ」との反論があるかもしれない。だが、もしもVol.2が発売される機会があれば、ぜひとも“読み応え”にも期待したいところだ。
(文/神楽坂隆)

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