「ようやく3DCGで作品として成立するものがでてきた」『楽園追放』水島精二監督に声優・古谷徹が問うた3DCGの必要性

1411_rakuen1.jpg「『楽園追放 -Expelled from Paradise-』公開目前ステージ」の様子。

 11月15日に劇場上映が始まったフル3DCGアニメ映画『楽園追放 -Expelled From Paradise-』。そうした中で10月18日、練馬文化センターにて「『楽園追放 -Expelled from Paradise-』公開目前ステージ」が実施された。このステージは、練馬アニメカーニバル2014のイベントとして設けられたものである。

 なお本作の制作秘話やメイキングについては、これまで5月の「マチ★アソビ vol.12」や9月の「CEDEC 2014」といったイベントセミナーなどでも語られてきているが、今回は声優・古谷徹さんから水島精二監督に訊ねる形式になっていたのが興味深い。

 古谷さんは、本作においてアロンゾ・パーシー役で友情出演。水島監督にとって「すごく大事な役」とのことだが、古谷さんはカッコよさやヒーローや美少年にこだわるため、「本来なら断る役」だったと明かした。

 水島監督は、「アムロがいなかったら僕はここにいません」と発言するように、『機動戦士ガンダム』(主人公は古谷さん演じるアムロ・レイ)を見てアニメ業界に入ることを志した。時は過ぎ、水島監督による『機動戦士ガンダムOO』で古谷さんはナレーション担当のオファーを快諾。期待の大型新人“蒼月昇”さんとして、ナレーション及びリボンズ・アルマーク役を務めたことでも話題になった。

 そんな水島監督に加え、『機動戦士ガンダムOO』の音響監督・三間雅文さんの2人が携わった本作。古谷さんは「2人からの指名であれば、無条件で一緒に仕事したいと思っている」と、信頼の厚さを見せており、そんなところから『楽園追放』では役のことも聞かずにOKしてしまったと、裏話を明かす。ちなみに、三間さんの音響監督デビューは、古谷さんが主人公・アベル役を務めた『ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説』だったという。

1411_rakuen3.jpg水島精二監督。

 今回の古谷さんのオファーについて、水島監督は「映画の最初で声を聞かせる役であるので、キチッとした方にお願いしたい」と思っていたところ、三間さんから古谷さんを提案されたという。収録はあっという間に終わったので、もの足りない感じだったとも。

 その後、イベントではパイロット版を上映。このパイロット版は、制作で一番時間がかかるところだったという。スケジュールと工程のワークフローをザックリと決めるため、このパイロット版が役に立ったという。ただし、時間があれば技術的に失敗してるところを直したいと思っていたものの、最終的に修正する時間はなかったそうだ。なおパイロット版は、映画全体約1200カット中70カット相当。残りの1130カットはスケジュール全体の4分の1という短い期間で制作したとのこと。後半には「こんなもんじゃない戦闘シーンが、大ボリュームで用意されてる」ということで期待が高まる。

 3DCG制作を担当した「グラフィニカ」は、『超時空要塞マクロス』の“板野サーカス”で知られるアニメーター・板野一郎さんが指導していたことでアクションには定評があるCG・VFXスタジオ。むしろ日常芝居をあまり経験していなかったため、短いシーンの中でも自然な動作の表現に力を入れたそう。普通、3DCGだと目が大きく顔の凹凸が複雑なデザインはバランスが難しいため、のっぺりした破綻のないようなデザインを採用する。しかし、『楽園追放』では「セルアニメと変わらない表現に到達する」という目標の一環として、普通だったら採用しないような造形の“萌えキャラ”に挑んだ。

 水島監督はこれまで3DCGを扱ったことはあっても、具体的にどれだけの労力がかかるかを把握しないまま、本作の制作に入ったことを明かす。VFXスーパーバイザーとしてクリエイターでもあるプロデューサーの野口光一さんに声をかけてもらい、グラフィニカの横川和政さんが“セルアニメと差のない質感”を見事に表現してくれたと、感謝も交えた。

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