過去のビジネスモデルから脱却なるか!?  サンライズ社長がセミナーで語った「日本国内と海外のガンダムのビジネス展開」

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■北米と東南アジアとの展開の違いは? CGや4Kなど、技術やフォーマットの展望

【質問】(ガンダムが)北米で盛り上がっていない件で、何か対策は講じているのか?

宮河「北米用に作ろうかと思ったこともあるが、北米でウケるために作ったところで『果たして、それはガンダムなのか?』と壁にぶち当たった。個人的な意見としてはマーケットに合わせて作り変える気はないが、北米でウケるガンダムもあり、『新機動戦記ガンダムW』がアメリカで放送された時は、かなりビデオも売れてランキングに入った。最近では『機動戦士ガンダムOO』もウケていたが、『W』も『OO』も従来のガンダムと違って主人公が積極的。そういう主人公を作って日本で展開する時に、北米でもウケるだろうから持っていこうと考える」

【質問】シンガポールやインドネシアなど、東南アジア市場については?

宮河「香港で『ラブライブ!』のイベントをやった時も同様だったが、正式にシンガポールで一切『革命機ヴァルヴレイヴ』の放送も配信もしていないのに、西川貴教さんと水樹奈々さんが出演したAnime Festival Asiaのライブに来た客が主題歌を日本語で歌っていた。テレビで放送して違法で配信されるくらいなら、全世界一斉配信をしないと意味が無い、(配信は)公式にやるべきだと実感した。シンガポールやフィリピンなども大きな市場だと思ってるが、インドネシアはたくさんのエリアに分かれてるので、映像はともかくどうマーチャンダイジングするかだ」

【質問】制作面におけるCGやVFXの可能性への考えは?

宮河「アメリカはどんどんCGが進んでいるが、日本の技術が進むとは思えない。『トランスフォーマー』や『アナと雪の女王』を見て、日本のCG技術がハリウッドに肩を並べるとは思っていない。そういう意味では、ガンダムは逆の方向へ進む可能性がある。『機動戦士ガンダムUC』はCGも使ってるが、手描きの良さでウケてるところがある。CGも若干使っていくが、フルCGでガンダムを動かすというのは考えていない。例えば、150億円を日本の人に渡したら(ハリウッドのCGと比肩するものが)作れるかっていうと作れない。

 そういう意味でお金の問題ではなくて、技術で決定的に差がついてしまった。ハリウッドにガンダムを委ねるのか、日本のものにこだわっていくのかの選択をいつかすべきなのだろう。ドメスティックなキャラクターになるのか、ワールドワイドなキャラクターになるのか、果たしてそれがガンダムにとっていいことなのか。いくつかの日本の原作にハリウッドがオファーをしているように、ガンダムにも(ハリウッドからのオファーが)来ているが、まだ一切協力はしていない。サンライズが目指してるのはCGではなく、日本独特の手描きでコツコツと作り続けることだと思う」

【質問】オリンピックの話も出ているが、4Kや8Kなどフォーマットの観点では?

宮河「『UC』の出来がいいので80インチの4Kテレビを買って見てみたら、見れたものではなかった。【A4サイズの動画用紙を掲げながら】映画だともうちょっと大きめの動画用紙だが、今のテレビでもこのサイズを4倍に伸ばしているので線が荒れる。80インチだと10倍くらいにすることになる。CGでも実写でもないので、アニメは4Kに向いていない。違う作品でCGで(4K対応を)試すが、ガンダムを4Kで作るかというと、この2~3年では作らない。というか作れない。富野(由悠季)監督と見た時も『アニメーターに見せられない』と言われた。恐らくアニメーターが80インチのサイズで絵を描きたがるだろうから。そのサイズで描けば4Kでも荒れたりしないとは思うが、今の環境では厳しいだろう。他方で音の世界では、サンライズはかなり早い段階でハイレゾで展開していて、『UC』も売れ行きが良い。アニメファンはスペックマニアなので、ソニーのウォークマンでも『UC』仕様を発売している」

コンテンツビジネス・デジタルシフト―映像の新しい消費形態

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“ウィンドウ戦略”“ウィンドウウィングモデル”などは、この本に詳しいです。

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