姫乃たまの耳の痛い話 第14回

「私処女なんです」憧れのアイドルの純潔を信じて恋愛スキャンダルに狂ってしまった地下アイドルの悲哀

 アイドルファンの地下アイドルは多く存在します。彼女もまた、アイドル好きが高じて、自身でもアイドル活動を始めた女の子でした。

 アイドルと可愛い服が好きだった彼女が、何よりもこだわったのが衣装です。アイドルライブに初めて出演する時も、その後の予定が決まっていないにも関わらず、衣装をいちから手作りするという気合の入りようだったのです。

 ところが、ライブではあまりファンがつかず、「狭いライブハウスというかイベントスペース? で、客も少ないのに、衣装だけ豪華なのが惨めになって」小さな撮影会のモデルに登録しました。撮影会なら、小規模でもライブよりは稼ぎが良くて、何より衣装を活用できることに気がついたのです。

 撮影会モデルを始めると、予約はあっという間に埋まりました。……しかし、これが落とし穴だったのです。

 最初に来てくれたお客さんは撮影会自体のファンで、新しいモデルはとりあえず撮影してみる人たちだったのです。中には気に入って複数回、予約してくれたお客さんもいました。しかし、「自分のファンになったと勘違いしてしまった」彼女は、彼らが離れていくことを恐れて、ほかのモデルの撮影に予約していることがわかると彼らを怒るようになってしまいました。
 数カ月後には、10枠ある個人撮影が2つでも埋まれば万々歳という状況に陥りました。これが彼女の地下アイドルとしての経歴です。

 数年前から現在もこの活動を続けている彼女ですが、アイドルに憧れ、憧れているアイドルのようにになりたいという気持ちに変わりはありません。いつの間にか、撮影会がない日は、日がな一日アイドルのブログやツイッターに張り付くアラサー地下アイドルになっていました。ちなみに趣味は、「推しがブログで着ている服のブランドを当てて、同じ服を買うこと」です。

 楽しそうと言われれば楽しそうな生活を送っている彼女ですが、最近、某有名アイドルのスキャンダルで絶望しました。

 震えながら、彼女は「処女なんです」と、私に告白しました。なぜカミングアウトされたのかわからなかった私は気の抜けた返事をしてしまったのですが、「推しと同じようなアイドルになりたかったから、私も処女でいた」ということだと理解して驚きました。なんだ、それは。

 彼女は地下アイドルの世界で、異性とトラブルを起こすこともなく、純潔を守り抜いていたのです。それなのに憧れのアイドルは普通に恋愛をしていて、そして恐らく済ませることは済ませていて、「裏切られた。今まで私が守ってきたものってなんだったんだろう」と彼女は絶望していたのです。

 本当にいろんなファンがいます。彼女の女性として幸せを願いながら、高校生から今日までをアイドル活動に捧げている自分を思って、胸がちくりと痛みました。

●姫乃たま
1993年2月12日、下北沢生まれ。日本の地下アイドル。2009年より都内でライブをする傍ら、ライターとしても活動を開始。イベントの主催や、司会、モデルとしも活躍している。全曲ボーカルをつとめたFriendlySpoon「フレスプのファーストアルバム」絶賛発売中。

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