キーワードは“アニメへの共感”──アニメ『グリザイアの果実』OP主題歌を歌う黒崎真音が語る、アニソン作詞の極意

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シンガー・黒崎真音。

　クールなビジュアルとエモーショナルなボーカルスタイルで、アニメ・ゲームソングシーンの中で大きな存在感を放つシンガー・黒崎真音が、およそ1年ぶりとなるタイアップシングル『楽園の翼』を10月15日にリリースした。

　すでに放送がスタートしている秋の新アニメ『グリザイアの果実』のオープニング主題歌であるリードナンバーは、デジタル＆ロックな印象の強い彼女のイメージとは一味違う壮大な一曲となっている。新境地にたどり着いた彼女が、新曲にどんな思いを託したのか。そして、普段からどんなメッセージをアニメ・ゲームソングに込めているのかを聞いてみた！

■新境地を切り開いた「楽園の果実」

――ほぼ1年ぶりのリリースとなる今回のシングル『楽園の翼』は、どんな楽曲でしょうか。

黒崎真音（以下、黒崎）　今回はアニメ『グリザイアの果実』の主題歌ということで、これまでゲーム版から『グリザイア』シリーズの曲を作ってらっしゃったElements Gardenの藤間仁さんに楽曲を書いていただきました。Elements Gardenはずっと憧れのクリエイターだったんです。これまで自分はロックな曲やデジタルナンバーをベースにした音楽を歌ってきたんですが、今回藤間さんに作っていただいた楽曲は壮大で爽やかで、草原と青空が広がるのが似合うような晴れやかな気持ちになる曲で、今まで歌ったことのなかった音楽性と出会うことができました。

──新たな音楽性の楽曲ということですが、レコーディング時などで印象に残っていることはありますか？

黒崎　今までもストリングスが入る曲はあったんですが、この曲は今までよりもさらに前面に出ていて、ボーカルのメロディラインと同じフレーズが流れていたりもしたので、まるで楽器と一緒に歌っているような感じがしました。また、穏やかなメロディラインだったこともあり、自分自身も流れに乗るように、楽器が鳴るように歌おうと考えていました。最近はデジタル感のある曲を歌うことも多かったのですが、そういう楽曲はメロディラインが機械的な曲が多くて、歌う時も作詞をする時もそこが難しいなと思っていたので新鮮でした。また、そういう曲と出会えたのは初めてなので、すごくおもしろかったです。

──『グリザイアの果実』という作品は、出てくるヒロインたちにそれぞれ重たい過去のエピソードがある作品ですが、その主題歌を歌う上で意識したことはありますか？

黒崎　作品あってのアニメソングだと思いますので、レコーディングの前にゲームをプレイさせていただいて、ファンの方の考察ブログなどを拝見して準備してからレコーディングに臨みました。最初はすごく明るかったヒロインたちの過去が明らかになっていくにつれて、様々なトラウマを抱えながらもそれを見せずに生きてきたんだ、彼女たちは強いんだと思うようになりました。と同時に、人の強さと心の脆さというものも強く感じたんです。そういう物語を知った上でこの曲を聴くと、感じ方が変わる部分がありましたね。

「この歌詞はあの子のことを歌ってるんだな」とか「ここは俯瞰で彼女たちに放っている言葉なんだな」と。特に気に入った歌詞は、最後のサビ前の「やがて全ては終わるんだ」という箇所です。深いですよね。楽曲とのギャップもすごくあって印象的です。「終わり」ってすごく悲しいと思えるけど『グリザイアの果実』のテーマや彼女たちを知った上でこの歌詞を読むと、「もういいんだよ」みたいなイメージが感じられてグッときました。「終わり」に希望を感じるというか、主人公の男の子がヒロインたちに真摯に向き合う関係性みたいなものも見えましたし、心に何か抱えている方にとっては共感できる感情かもしれないなと思いました。

──本作はゆったりした衣装と三つ編みのジャケット写真に、白馬と大自然の中で共演するファンタジックなPVなど、黒崎さんにはあまりないビジュアルで新鮮でした。

黒崎　いつも黒っぽい衣装が多かったりするんですけど、今回は楽曲のイメージに合わせて淡い色の衣装にも挑戦しました。PVの軽快に馬を走らせているシーンは最初走らせるつもりはなくて、急に走り出しちゃってびっくりして（笑）。PVの見所はその白馬とのシーンと、朝焼けから夕焼けに変わっていく風景の美しさです。

 
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