「あくまで自分の欲しいものを追求してきた」 ニンテンドーDSなどの開発で知られる元任天堂・岡田智の仕事術とは

 今から4年前の2010年10月17日、「シューティングゲームサイド」(マイクロマガジン社)という“シューティングゲーム専門誌”が産声をあげました。記念すべき一冊目のキャッチコピーは“新作・レトロ・同人・全世代対応シューティング専門誌、登場!”。4年経った今年の9月には12冊目となる「シューティングゲームサイド vol.10」がリリースされ、シューティングゲーム・ゲーム音楽、美麗なイラスト・グッズ・イベント・インタビューと、あふれんばかりの“シューティングゲーム要素”が詰めこまれていました。

 シューティングゲームに関する記事が数多く見られる中、“元・任天堂 開発技術部 部長の岡田智氏によるインタビュー『岡田智の仕事術』”といった興味深い記事が。岡田氏と言えば、1975年に任天堂に入社し2007年に退社するまでに【編注:2010年までの3年間は非常勤のアドバイザーして契約】、 “ゲームボーイ”や“ニンテンドーDS”といった携帯ゲーム機をメインとした開発を行い、世に多くのヒット作品を送り出しました。そんな岡田氏の“仕事術”とは一体どのようなものなのか、実際に見ていきましょう。

1.自分が“欲しいと感じるもの”を追求する
 岡田氏は「技術職としてどういう心がけで制作に臨んでいたのか?」という質問に、「子どもの目線でものを作ると言うわけではなく自分たちが楽しめるものを作ってきました」と答えています。ニーズを外に向けず、あくまで“自分自身が買いたいような品物”と、自分の中からニーズを探し出すことを徹底していたそうです。

 また、何か制作などをする際、客観視をするってなかなか難しいことだったりします。インタビューの中ではそのことについて触れられており、岡田氏はこう答えていました。「つまり、技術を誇示するのではなく、あくまで自分の欲しいものを追求することでしょうか」。

2.日本の会社における状況や人の管理、経営についての考え
 今の日本の会社や人の管理、経営についても、岡田氏はいろいろと答えています。例えば、「新しいことを始めようと思っても上の許可が必要」といったこと。頭に浮かぶアイディアは人に伝わりにくい側面があるため、試作品を作ってアピールすることが大切だと考えている同氏。しかし現状は、計画段階で横やりが入りやすいという状況が存在すると話しています。 

 とはいえ、自由な環境では、気の緩みが起きることもあります。こちらについては、「人の資質を見抜いて適切な部署につけるのが管理側の役目ではないか」と語っています。また、「自分がこういう物を作りたいだけでなく、会社に対してどれくらいの売上をもたらせるか」についても考えていたそう。また、「成果を出した人間にはしっかりと高給を出すべき」とも。開発として、また、管理職としてどのように考え行動されていたのかを教えてくれました。

3.自分が「これは!」と思った仕事を追求する
 また、岡田氏は「試作品を作ることは大切だ」と話していました。なぜなら、試作品からは“アイディア内で解決すべき問題点”や“人がアイディアを見て感じる問題点”がわかるからだそう。同氏があるプロジェクトのためにPCと表示器をコードで接続した試作品を作った折、ある人物から「コードがつながっていてはだめだろう」と言われたそうです。試作品なのでコードがあるのですが、その人には『コードの存在』が問題点に映ったわけです。

 自分の欲しい物を追求し、試作品を作って自分のアイディアをしっかり伝えてきた岡田氏。インタビュアーから飛び出した、「流れに乗りつつ、自分のやりたいことを追求しているという印象を受けた」との言葉に岡田氏はこの様に答えています。「自分がこれはと思うような仕事しかやっちゃいけませんね」と。

 さらに、会議ではただ人を集めるのではなく、“物事が分かる人”や“波長の合う人”を誘って仲間に巻き込み、課外活動としてアイディア実現に励むといったことも行っていたそうです。

 岡田氏が開発したゲーム機たちは、大人子ども関係なくたくさんの人が手に取り、親しまれています。ですがインタビュー中には、「あなたがゲーム機を考えついたから孫が勉強しない」と家族から怒られたこともあるといった、少し微笑ましいエピソードもありました。

 このインタビューは、ただの『ビジネスハック』にとどまらず、“大先輩が教えてくれたヒント”とも思えたのです。
(文/らくしゅみっくす)

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