声優誌レビュー「声優グランプリ」2014年11月号

アイドル声優とは一線を画す!? グラビアの作り込みがすごい「声優グランプリ」

――昨今の声優人気に伴い、気がつけば声優専門誌も定期・不定期を合わせて10誌以上が刊行されている。そんな“声優誌 群雄割拠”の時代にあって、各誌はどのような記事・企画をとりあげているのだろうか? 主要な声優誌を中心に、目玉記事や気になる企画などを紹介しつつ、各誌の特徴を分析していく――

アイドル声優とは一線を画す!?声優グランプリ2014年11月号。

■「声優グランプリ」2014年11月号
出版社…主婦の友インフォス情報社
発売日…10月10日(毎月10日発売)
価格……1167円+税
創刊……1994年

「声優グランプリ」11月号の表紙&巻頭特集は、新アニメ『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』より小倉唯上坂すみれ石原夏織というフレッシュな顔ぶれ。この特集のあとには同アニメでOPテーマ&主演を務める水樹奈々のインタビューが続き、『クロスアンジュ』リレーとなっている。

 ただし『クロスアンジュ』については、前回の「Pick-up Voice」11月号のレビューでも触れているので、ここでは割愛。むしろ「ゆいかおり」と「上坂すみれ」が“3人揃って撮影するのが初めて”という話題の方がファンにとっては新鮮かつ重要かもしれない。グラビアでもこの3ショットを意識したのか、上坂はつねに小倉と石原の間に置かれている。インタビューでも「(ゆいかおりの)おふたりの間に割って入るのが申し訳なくて……」と緊張&恐縮しきりだったのが、何とも上坂らしかった。

 さて、今月の「声グラ」でもっとも強い印象に残ったのが「DREAM●DATE」(●は、ハート記号♥)の津田健次郎。綴じ込み付録として3つ折りになっているため、実質6ページ分の構成だ。綴じ込みの表紙には、津田サンのセクシーかつ鍛え抜かれた上半身がデカデカと掲載され、何事かと思われたが、これは先日に発売された1st写真集『FLOWING』のカット。6ページ中、3ページ分はこの写真集に関するインタビューとカットが掲載されているが、津田と言えば俳優業と声優業を見事に両立させている人物であり、写真から漂うオーラもよくあるアイドル声優の写真集とは一線を画す雰囲気になっている。

 一方、残りの3ページは同誌の名物企画「DREAM●DATE」なのだが、今回は「DELUXE」と謳っているだけあり、本当にスゴイ! 今回のテーマはゴージャスな大人のデートのようで、なんと高級リムジン(おそらくリンカーン・タウンカーの改造モデル)を貸し切り、夜の東京タワーをバックにリムジンの横で佇むスーツ姿の津田がメインカットとなっている。

 ほかにも、リムジン内でお酒を注ぐ姿、バラの花束を持つ姿、壁ドン(リア充向けの方の「壁ドン」です)する姿、挙げ句の果てにはレストランを貸し切ってのディナーの姿……など、とにかく豪華なつくりとなっている。これというのも津田健次郎という男が持つ雰囲気あってこそなのだが、同時にしっかりと彼に合った世界観をつくりあげたことにも拍手を贈りたい。いやぁ、何をしてもサマになる男って羨ましいですね。

 そのほかで気になったのは、先月からリニューアルされた読者ページ「Dr.グランの声優ラボ」。ラボらしく「研究報告」というコーナーが設けられており、これがなかなか興味深い。今回は「音楽編」と称し、読者の好きなアニソンを読者コメントともにポジショニングマップを作成。横軸にCUTEとCOOL、縦軸にアップテンポとスローテンポをおいてアニソンを図解しているのだが、この手の分析企画はもっと増やしてもいいのではないかと思った。

 惜しむらくはページ構成の都合上、非常に小さな枠に収まっていることだが、声優やアニメの知識が豊富な専門誌だからこそ、毎号1~2ページほどの企画であらゆる分析をしたら面白いのでは? サブカル系の雑誌が好みそうな企画だが、本家側がこの手の分析企画を組んだらどうなるのか……今回のミニコーナー「研究報告」を見て、非常に気になった。
(文/神楽坂隆)

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