“萌える物産展”が楽しめた「アニ玉祭」! さらなる発展のために期待したいこと

2014.10.17

「埼玉を巡ってきました」シリーズを販売する「エクスアーツジャパン」ブース。

 本サイトの読者でも参加した人は多いのではなかろうか。埼玉県などで構成される実行委員会が主催するマンガ・アニメの総合イベント「アニ玉祭(アニメ・マンガまつり in 埼玉)」が、昨年に引き続き10月11、12日の二日間、さいたま市の大宮ソニックシティで開催された。

 今年は「アニメと観光」をテーマに、「アニメの聖地が大集合」と掲げたアニ玉祭。取材班は二日目に訪れた。会場の周囲ではスタッフがチラシを配布して呼び込みを行っていたりして、やる気を感じさせていた。

 昨年同様、会場の広場ではフード関連のブースと痛車の展示が行われ、祭りの雰囲気を盛り上げている。「アニ玉祭」の大きな特徴は、ブースの中心をマンガ・アニメ作品を使った町興しを行っている全国の自治体や団体が占めていること。つまり、“作品の主幹企業が公式グッズを販売する”のではなく、“マンガ・アニメを用いた全国の物産展”というスタイルなのである。

 開催地が埼玉県ということもあり、やっぱり埼玉県の“ご当地モノ”が目立つ。埼玉新聞社ブースでは、埼玉新聞特別版「サイタマニア袋とじ紙面」を無料配布し『らき☆すた』『ヤマノススメ』のタペストリーを販売。このタペストリーが「埼玉新聞創刊70周年記念」となっているあたり、埼玉県の人々のマンガ・アニメに対する熱さを感じる。埼玉を舞台にした『らき☆すた』『ヤマノススメ』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『神様はじめました』の4作品は鉄板らしく、この4作品とコラボしたラング・ド・シャ(筆者注:細長いビスケットのことですよ、念のため)「埼玉を巡ってきました」シリーズを販売する「エクスアーツジャパン」のブースは、客足が絶えない様子であった。

「小諸市なつまちおもてなしプロジェクト」ブース。

 さて、埼玉県以外のブースに目を向けると、午前中に早くもタペストリーが完売していたのが『あの夏で待ってる』で出展する長野県小諸市の「小諸市なつまちおもてなしプロジェクト」ブースだ。小諸市は、立ち食いチェーン「小諸そば」の存在ゆえにか地域自体の知名度はあるものの、首都圏から訪問する人は少ない土地。なにしろ、かつては特急停車駅だったのに、新幹線は隣の佐久市にしか駅ができず、信越本線も分断されてしまって、東京からは手軽に行きにくい土地になっている。ところが、ブースのスタッフに話を聞いてみると「作品を通じて観光客が増え、見落としたところを見ようとリピートする人も増えている」のだとか。ううむ、微妙に行きにくいレア感がより作品愛を強くしているのだろうか。

 さらにブースを巡る。主に年配の来場者が熱い視線を向けていたのが、「松本零士公式ファンクラブ」のブースだ。「銀河鉄道999弁当」の販売と共にフィギュアの展示を行っていたのだが、ハーロックと共に展示されているのがトチロー! そりゃあ、熱い視線を送られるはずだと納得。これ、展示用の一点モノだそうだが、ぜひ商品化してほしいものである。

 とまぁ、“萌える物産展”として来場者は満足していたみたいなんだけど、それでも昨年に比べると、どうも会場の熱量が低く感じられた。それがどうしてかは一目瞭然。今年は「聖地巡礼観光物産展」といった物販ブースへの入場が有料になっていたからだ。料金は二日間通しで大人600円の設定(二日目だけだと500円)。イベントで物販ブースの部分だけを有料にしてしまうなんて、いったいどういう目論見なのか。

 それと、こうした「聖地巡礼観光物産展」はメインステージ横の建物で行われていたのだが、一見、建物内で物産展が行われているとわかりづらかった。さらに、最奥には出張メイド喫茶的な「聖地巡礼カフェ」もあったが、案内図をちゃんと見ないと気づかずに帰ってしまいそうだ。働いているメイドさんにも聞いてみたけれど、「考えていたのと違って、え、ここ? と思いました(笑)」だって。

 マンガ・アニメを軸にして“萌える物産展”としてのコンセプトは、おそらく間違ってはいない。でも、出展者の熱気を来場者に伝える方法がちょっと惜しかったと残念に思う。来年は物産展と割り切って入場無料にすることをオススメする。今回のアニ玉祭の背景は今後も取材予定なので、続報にご期待あれ。
(取材・文/昼間 たかし)

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