絵コンテが800万円に!?  “日本アニメーションの父”政岡憲三のお宝が発掘される

1410_masaoka.jpg『開運!なんでも鑑定団』公式サイトより。

 10月14日放送の『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)で、アニメーション作家・監督の政岡憲三にまつわる品が紹介された。

 このお宝を持ち込んだのは、愛知県の元アニメーターの依頼人で、アニメ制作会社を経営していたという人物。この依頼人は、60年前にアニメ製作会社・日本動画株式会社でアルバイトをしていたといい、このお宝は、日本のアニメ界にとっても貴重なものだという。

 そのお宝とは、政岡憲三の原画、スケッチ、絵コンテ類。これは依頼人が、政岡から勉強のために譲り受けたものだという。

“日本アニメーションの父”と呼ばれる政岡憲三は、1898年生まれの大阪府出身。黒田清輝に絵画を学び、マキノ映画製作所で役者やカメラマンをし、29歳で映画監督をしていたという。その後は、幼いころから興味を持っていた“漫画映画=アニメーション”の道に。政岡は1930年に『難破ス物語 猿ヶ島』でデビューすると、円谷英二と人形アニメ『かぐや姫』を製作したり、日本発のフルセルアニメ『くもとちゅうりっぷ』を作ったり、アニメ『鉄腕アトム』も携わったという、日本のアニメ界の黎明期を支えた人物。番組では、あらかじめ録った音に合わせてアニメを作る「プレレコ」のために、自ら楽団まで立ち上げたりというものから、『くもとちゅうりっぷ』の色気のある主人公・てんとう虫を描くため、妻に水着を着させてモデルにしたり、雨の描写のために雨粒を一週間眺め続けたとりと、アニメ製作に関する政岡のエピソードも紹介された。

 ちなみに政岡は「動画」という造語を生み出し、現在の東映アニメーションの前身となる日本動画株式会社を設立した人物である。その後も『すて猫トラちゃん』などのヒット作を世に送り出すが、視力低下のため51歳でアニメ業界を引退している。

 今回鑑定に出された絵コンテ、スケッチは『桜』に登場する舞妓の姿やしぐさ、蝶の生き生きとした動きなどが、事細かに描かれていた。また、原画は『すて猫トラちゃん』のもの。これらを日本アニメーション文化財団代表理事でアニメ研究家のなみきたかしが鑑定した。そして、結果は依頼人の予想額である150万円をはるかに上回る、800万円という鑑定額が出された。

 なみきはこのお宝について「歴史的な発掘。日本のアニメが、当時から世界的なレベルになっているのが一目瞭然(となるクオリティ)。すばらしい」と評価。特に『桜』の絵コンテについて「実際に作られたフィルムと(絵コンテが)同じですよね。非常に精細な設計図を頭の中でイマジネーションして描いてらっしゃる」と絶賛。また、政岡の絵コンテがなぜここまで精細なのかという点については「優秀なスタッフがいたんですけど、戦争でバラバラになってしまって、絵心はあっても、アニメーションは素人という人を、1ヵ月の特訓で投入したということで、ちょっと心配になり(細かく)お描きになられたのでは」とコメントした。

 依頼主は政岡について「とても気さくな方で、プロになるための心構えやテクニックをアドバイスしていただきました」と語り、譲りうけた絵コンテなどについては「私の人生の指針となったもの」とコメントを残していた。そんな依頼主も予想外の鑑定額に「感激しました」と驚きを隠せなかったようだ。

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