なんで●●なのかまったくわからずじまい!?　伝説のマンガ『聖マッスル』が伝説たるゆえんとは？

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――今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか？　ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう！

（イラスト／村田らむ）

　今回紹介したい作品は、伝説の作品『聖マッスル』である。

『聖☆おにいさん』よりも『聖闘士星矢』よりも古い『聖』な作品だが、「セイント・マッスル」ではなく「セント・マッスル」と読む。

　連載が始まったのは1976年なので、僕はまだ、当時4歳だ。当然、リアルタイムでは読んでいない。僕がこのマンガを知った頃には、すでに伝説的な作品になっていた。

　しかし、高校の近くの古本屋で見かけたりすることはあったが、結局伝説を紐解くことはなく、数十年が過ぎてしまった。なぜ伝説に挑もうとしなかったかというと、プレミアがついて高値だったこともあるし、表紙だけで胃もたれしそうな雰囲気だったからでもある。実は今回、Kindle化されて初めて、対面した。

　物語は、主人公が花畑で目覚めるシーンから始まる。

　世界の美しさを愛でた後、記憶喪失であることに気づき苦悩する。目覚めた時、なぜか素っ裸なのだが、そこに関しては一切の疑問を持たない。そして主人公は、自分の正体を探す旅を始める。素っ裸のままで。

　読んでいて、どうしても「なんか着ろよ……」と思ってしまう。

　鳴り物入りで始まったが、連載当時は人気が出なかったというこの作品。それは主人公が素っ裸だったからもしれない。読んでみるとわかるが、どうにも落ち着かないのだ。

　アーノルド・シュワルツェネッガーの映画『コナン・ザ・グレート』は肉体美がテーマになっていたけど、アーノルド・シュワルツェネッガーがふんどしをはかず、プランプランペタンペタン振り回しながら戦っていたら、人気が出なかったに違いない。

　主人公が最初に訪れた場所は、壁、天井が無数の人間の身体で覆われている城だ。そして、そこに住んでいるのはスター・ウォーズのジャバ・ザ・ハットのように醜く太った男である。この男も全裸だ。

　いかに周りに何もないからって、この城でくつろぐなんて危機感ゼロ。でも主人公はそこで飯まで食って、案の定、その飯には睡眠薬が入っている。そしていろいろあった末、、人間城は崩れ去り、主人公は再び旅に出るのである。

『聖マッスル』が伝説の作品たるゆえんは、この1章につきるだろう。全力投球で、大暴投しているのだ。

 
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