盛り上がりを見せたICAF2014 観客賞は女子小学生の友情を描いた『想い雲』! 

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 9月25日から28日まで国立新美術館にて開催されたインター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル(ICAF)2014では、参加していた各大学や専門学校の推薦作品を見ることができた。

 最終日28日には観客賞の発表も行われ、今回は中舎康平さんの『想い雲』が受賞した。この『想い雲』は多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科の卒業制作で、同学科は前回の卒業制作『Airy Me』(久野遥子)に続く受賞となった。

 観客賞は前回から新設となったもので、各校の推薦作品の中から代表として1作品が選ばれる各校選抜プログラム内で上映された作品が対象となっており、観客の最多得票がそのまま賞に反映される。前回の受賞は大方の予想通りとなったが、今回はプロジェクションマッピングなど、いつにも増して多彩なジャンルの作品が揃っていたように思われた。

 受賞した中舎さんの『想い雲』はストーリー物で、女子小学生の喧嘩と仲直りといった友情が描かれている。中舎さんは「同世代の作品がいっぱいあって刺激をもらえた。平成生まれの世代だけど、できる限り横のつながりで業界全体を盛り上げていけたら」とコメント。本作は東京アニメアワードフェスティバル2014の卒業制作プログラムでも上映され、その後ネットでも公開されているので、この機会に是非とも見てほしい。

 ストーリー物に関しては、得票数2位となった東京工芸大学芸術学部アニメーション学科の卒業制作『乱波』(中島悠喜)などもあり、どの作品が受賞することになるのか読めないところがあった。ちなみに、推薦作品には選ばれなかったものの、武蔵野美術大学の映像学科の卒業制作『木の葉化石の夏』(谷田部透湖)もストーリー物で、仮に本作が推薦作品に選ばれていれば、さらに票が割れることとなったのは想像に難くない【筆者註:同校推薦作品は視覚伝達デザイン学科の卒業制作『2014年8月31日日曜日午前6時45分』(安藤愛莉)で、圧巻の背景画力が際立つ作品】。

 ICAFは映画祭やコンテストではないため、賞の選出は観客賞のみになる。なお得票数2位の『乱波』は、第36回ぴあフィルムフェスティバルのPFFアワード2014で準グランプリを受賞している。総じてアニメーションの賞では、ストーリーよりも技術に重点が置かれがちなため、ストーリーも重視してもらいたい場合はPFFのような実写作品と競うところに応募したほうが有利に働きやすい(この件の詳細は別の機会に譲ることにする)。

 ICAFの上映作品は、主に学部や専門学校の卒業制作や大学院修士の修了制作で占められるが、2年次や3年次の作品も含まれている学校もある。それらの作品を制作した彼らが卒業制作でどのような作品を仕上げてくるのか。また次回の開催が楽しみだ。

 ICAF2014は今後、11月3日に北海道(新千歳空港国内線ターミナルビル)、同8日から14日までが石川県(金沢シネモンド)、同28日から30日までが京都府(立誠シネマプロジェクト)、12月6日に愛知県(愛知芸術文化センター)と巡回する。会場によっては上映作品が限定されるものの、先の記事参照でも触れたように、ネットで全ての作品を把握できるわけではないので、ここは足を運んでおきたい。

 一方、会期中のレセプションでは、会場となった国立新美術館の青木保館長も挨拶で訪れていた。青木館長は挨拶の中で、来夏に当館でアニメ・マンガ・ゲームに関するイベントの開催を企画中であることを明かした。こちらはこちらで今後の正式発表が待ち遠しくなる話である。
(取材・文/真狩祐志)

■自主制作アニメ 『想い雲』 Indie Anime “a reflection of one’s mind”
http://www.youtube.com/watch?v=vmXi69bt3ks
■インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル
http://www.icaf.info/

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