初回からのジェットコースター感に視聴者圧倒! 『ガンダム Gのレコンギスタ』

2014.10.05

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『ガンダム Gのレコンギスタ
第1話「謎のモビルスーツ」

【今週の極私的見どころ!】
 今年はガンダムシリーズ35周年のアニバーサリーイヤーということで、「機動戦士ガンダム」シリーズ生みの親である富野由悠季が監督・脚本を手掛ける最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』(以下、『Gレコ』)が、満を持して10月よりスタートしました。富野アニメといえば、アクの強い独特のセンスを持つ「富野語」や、セリフではなく作画と編集の力で直感的に物語を理解させる力強い絵コンテなど、富野由悠季にしか生み出せない画作りが特徴であり、テンプレと説明過多な現代アニメのセンスとは真逆をいく、非常に作家性に満ちたものとなっています。しかし、富野監督も御歳72の御老体。おまけに放送直前インタビューでは「子供たちに見て欲しい」とコメントしており、ひょっとしたら一般狙いのマイルドな作品になっているのかも……? 期待させる! この新番組! というわけで、これから毎週『Gレコ』をレビューすると! 僕は!(富野語風味)

【今週のおすすめ度】
★★★★★

 さてまずはオープニングテーマ「BLAZING」からスタート。アバンタイトルやいきなり本編からスタートする昨今のアニメのトレンドなど、どこ吹く風。主役モビルスーツ・G-セルフの雄姿から始まるオープニングテーマは、非常に古典的な印象の演出。一方、曲自体は今風なデジタルポップスな感じです。それにしても映像がほとんど本編の流用ってのがすごい! それでも違和感なく、それっぽく見れるのは総集編映画を何本も作ってきた富野監督ならではの神コンテのなせる業でしょうか。

 かっこいいG-セルフの決めカットで締めるオープニングが終わると、いよいよ本編スタート。いきなりG-セルフが登場。しかも、2種類のモビルスーツに攻撃されています。どうやらこのモビルスーツ部隊は、それぞれG-セルフ鹵獲を目論む2勢力の様子。断片的なセリフとカットでそれとなく視聴者に意識させます。そして、フォトンアーマーと呼ばれる発光する装甲を持つG-セルフは、背面に装着していたパックを排出し、コクピットからは生身の女の子が放り出されます。結果、G-セルフは黒いモビルスーツ部隊に。バックパックと女の子は白いモビルスーツ部隊に回収された様子。女子は涙とよだれをバンバン流して苦しそうです。開幕から2分少々。早くもすさまじいテンポで大量の情報が、視聴者を圧倒します。しかし、このジェットコースター感は脳を刺激しますね。振り落とされないように画面に集中せざるをえません。

 場面は変わって地上。宗教施設で指導者と思しき老人が説法をしています。「~であるから、~なのです」という「富野的言い回し」が早くも出現しニヤリとしてしまいます。さて、ここからは『Gレコ』ならではの舞台装置・軌道エレベーターが出現。ここで主人公のベルリ(CV:石井マーク)をはじめとするキャピタル・ガード養成学校の学生たちが、軌道エレベーターを使って宇宙空間に研修に向かうという状況を見せながら、学生と教官の問答を通じて『Gレコ』ワールドの基礎知識を視聴者にも伝えてくれます。秀逸なのがここでのベルリの言動です。飛び級で研修に参加する秀才君であるベルリは、その自信からか教官にもナチュラルに生意気な口をきいてしまうのです。しかし、そこに悪意はなく、あっけらかんとした仕草や物言いから、彼の持って生まれた素質やいやみのない性格が伺えます。

 そこに駆け込んでくる女生徒たち。彼女たちは、研修生を応援するチアガールです。しかし、彼女たちもお目当ての男子やボーイフレンドがいることが明らかになり、ほんのりスクールカーストが見え隠れ。ちなみにベルリは、チアガールの一人・ノレド(CV:寿美菜子)から好かれている様子。リア充なキャラだということまで明らかになります。

 それにしても、チアガール隊のなんと魅力的なことか! 人種も違えば体型もそれぞれ異なる彼女たち。太ももフェチの筆者としては、いきなりのご褒美タイムです。さすが美少女に対する独特のこだわりを持つ富野監督。フェティッシュな表現にも手を抜いていません! Twitterなどでは、早くもチアガール隊の「どの子がいいか?」論争が勃発している様子。これは早いうちに彼女たちの薄い本にも期待できそうです!

 第1話の後半は、研修中のベルリたちに宇宙海賊の操るG-セルフが迫ります。しかし、教官やベルリの先輩・ルイン(CV:佐藤拓也)の操縦するレクテンの活躍で捕獲に成功。パイロットのアイーダ(CV:嶋村侑)は捕虜となります。彼女は宇宙海賊と名乗っていますが、どうやら宇宙海賊は裏でアメリア国とつながっている様子。ということは、冒頭登場したGセルフを捕獲した黒いモビルスーツ隊はアメリア軍の機体ということでしょうか。ちなみにアメリアとは、『∀ガンダム』で主人公・ロランが最初に降り立った大陸と同名です。アメリア軍が後のミリシャに繋がったりしたのかな……? なんて想像してみるのも面白いですね。

 と、ここで冒頭確保したG-セルフのパイロットだった少女・ラライヤ(CV:福井裕佳梨)が、G-セルフを見て反応を見せます。冒頭、高高度から放り出されたために、アムロ・レイの父親テム・レイのように酸素欠乏症になった彼女は「ジ、ジ……」とリフレイン。その正体が気になります。さてさて、アイーダと劇的な出会いを果たしたベルリ。彼は、「自分以外にはG-セルフを動かせない」と言うアイーダをしり目に、あっさりG-セルフを起動。何やら鍵らしきものをコクピットで入手します。どうやらG-セルフに乗れるのは、アイーダ、ラライヤ、そしてベルリだけの様子。大きな謎と大冒険への期待を煽る王道少年向けアニメのような雰囲気の中、第2話へと続きます。

第2話「G-セルフ起動!」

【第2話のおすすめ度】
★★★★★

 初回は第1話、第2話を一挙放送する拡大版ということで、引き続き第2話がスタート。第1話でベルリが動かしたG-セルフは、キャピタル・ガードに捕獲された模様。あえて場面をすっ飛ばし、断片的な説明とビジュアルだけで視聴者にその間のストーリーを想像させるという演出は、劇場版『∀ガンダムII 月光蝶』の冒頭を思わせます。

 さて、今回は地上が舞台。学校に戻ってきたベルリたちですが、そこにアイーダを救出しようと宇宙海賊が学校を急襲します。危機的な状況にもかかわらず、どこか緊迫感のないベルリやノレドたち女子。彼らは、このどさくさの中で、キャピタル・アーミーなる正体不明の組織に捉えられたアイーダを救出に向かいます。閉じ込められていた場所は空襲で破壊されており、建物からずり落ちそうになるアイーダ。そんな彼女を、ノレドはなぜかパチンコで狙い撃ち! どういうことでしょうか。行動の意味がいまひとつよくわかりません。これは、僕の理解力がないだけ? と思ったら、ネット上では「ノレド、キ○ガイ説」がにわかに噴出。よかった、僕だけじゃなかったんだ。

 そんなこんなで、戦闘は激しさを増す一方。と、ここで思わぬ古参オタサービスシーンが出現です。宇宙海賊のモビルスーツが、アイーダを探して施設に侵入する場面で、レトロモビルスーツが展示されている場所が出現。並んでいたのはザク、リックディアス、ドム、ガルバルディβ、ゴッグ、カプール、量産型ガンキャノン、ジェガン。そして『機動戦士Vガンダム』にちょっとだけ出てた量産型モビルスーツのジェムズガン! こりゃたまらん! Twitter上でも、おっさん世代ガンダムファンの歓喜の声が溢れかえりました。

 そして、ベルリ操るG-セルフと宇宙海賊のカーヒル(CV:森川智之)操る敵モビルスーツの戦闘がスタート。と、ここでG-セルフは謎の発光とともにパワーアップ! カーヒルをコックピットごと焼き殺してしまいます。これを見たアイーダは、「カーヒル大尉を生き返らせて、私に返してください!」とベルリに泣きつきます。慟哭する彼女は、カーヒルがアメリア軍のパイロットであることをさらっとカミングアウト。つまり、宇宙海賊の実態は、やはりアメリア軍だとここで判明します。そんな重要な情報もさらりと流すのが『Gレコ』流です。ラストは、冒頭にも登場したキャピタル・ガードの幹部・ルシータ大佐(CV:広瀬彰男)。彼の表情からは、何かを知っていることがうかがえます。とたんにシリアス度合いが増してきたところで第2話はfin。これは続きが気になります。

 エンディングテーマ「Gの閃光」は、爽やかなロックナンバー。富野監督の手による作詞(井荻麟名義)は、相変わらずキャッチ―です。「つかめプライド つかめサクセス」「元気のGは始まりのG」というフレーズは、他の人には書けません! そんなエンディングには、さらっと今後の展開のヒントになる映像も。様々な形態のG-セルフに今後のメカアクションの期待も膨らみますし、何より仮面の男の姿にびっくりです。髪の色からして、どうやらルインがその正体と思われますが……。とにかく謎だらけ、疑問だらけながら、それでも先が気になってしまう『Gレコ』第1話、第2話。ガンダム35周年にふさわしい大作になる予感、バリバリです!

 あ。あと、次回予告の決めゼリフ「待ち遠しくても、待て!」の身もふたもなさもたまらんです。
(文/受動 明日)

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