Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第17回

カリスマギャグマンガ家・相原コージが描く忍者マンガ『ムジナ』の●●な描写がすごい!

――今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

141004_rum.jpeg(イラスト/村田らむ)

 今年読んだマンガの中で、今のところのイチオシ作品は相原コージの『Z〜ゼット〜』だ。

 相原コージは、『コージ苑』『かってにシロクマ』『サルでも描ける漫画教室』などなどの著作を持つ。若い人は知らないかもしれないが、40前後の僕ら世代にとって、まさにカリスマ的なギャグマンガ家だった。実験的、先進的にギャグを追い求めていく、尖ったスタイルの作品が多かった。

 個人的には2004〜2011年まで長期連載された、動物同士が異種格闘する『真・異種格闘大戦』がとても好きだったのだが、残念ながらあまり話題にはならなかった。

『Z〜ゼット〜』は、ゾンビが蔓延する日本を舞台にした、発生初期、中期、後期をランダムにわけて描くオムニバス形式のマンガである。これがまた、とてもハマった。ソリッド・シチュエーション・スリラーとしても楽しめるし、相原コージならではのギャグも多い。

 すぐに映画化も決まり、『Z〜ゼット〜 果てなき希望』として公開された。
 
 あっけなく死んでしまうひとりの人間のはかなさと愛おしさ。どんな絶望的状況になっても何事もないように乗り越えてしまう人類のたくましさと生理的嫌悪感。そんな大きなテーマも感じられて、とても感動した。

『Z〜ゼット〜』はKindleでも販売しているので気になった人は買って欲しい。

 ……と熱弁してきたが、今回紹介したいのは『Z〜ゼット〜』ではない。今回僕が紹介したいのはそんなそんな相原コージが描く忍者マンガ『ムジナ』である。連載が始まったのは1993年。今から21年前だ。

『Z〜ゼット〜』では“ゾンビもの”を描いたように、『ムジナ』は“忍者もの”を相原コージ流にギャグマンガにしようという試みである。

 忍者作品といえば、なんと言っても『サスケ』『カムイ伝』など、白土三平の作品が印象深い。それ以降、忍者マンガは定番のジャンルになった。しかし『ムジナ』がはじまる頃には、忍者をテーマにするなんて、少し時代遅れのイメージがあったと思う。当時『ムジナ』は、それを逆手に取っての連載だったのではないだろうか(ただし、実際には忍者マンガは廃れず、『ムジナ』と同時期に連載が始まった『NINKU -忍空-』はアニメ化されたし、『NARUTO -ナルト-』『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』など人気作は多い)。

『ムジナ』は、白土三平や山田風太郎(『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』『Y十M〜柳生忍法帖〜』などの原作者)が生み出した忍者マンガをベースにしている。変幻自在な忍法と、それに伴う過剰なまでの忍法の解説。目を覆いたくなるようなエロ&グロ描写などが満載である。

 『ムジナ』の残酷描写はとても痛々しい。そして少し気持いい。なんとも癖になる表現である。徳弘正也の『狂四郎2030』は僕のとても大好きな作品だが、残酷描写にはそこに通ずるものを感じた。どちらもギャグマンガ家が描いているのも、面白いところだ。

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