彼女はできなかったけど、希望はある? 実写ドラマも放送迫る『なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか?』レビュー

※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

 ああ、希望はあるけれど幸せはこなかったか……。「月刊少年ライバル」(講談社/(アプリ「マンガボックス」では遅れ連載中)で連載されていた内乃秋也×茂木完田のマンガ『なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか?』最終巻が、今月9日に発売された。本作は、10月13日より名古屋テレビ放送(通称、メ~テレ)にて、実写ドラマが放送開始となる人気作だ。

 掲載誌「月刊少年ライバル」は、今年6月に発売された7月号で休刊。それと同時に本作の連載も終了したわけだが、打ち切りの色はなく、大団円というべき終わり方だ。そこでもう一度、一巻から読み直してみると本作はさまざまな感慨を与えてくれる。

 この作品は、主人公・東堂院聖也の高校入学から卒業までを描く青春ストーリーだ。この主人公、顔はイケメン風に描かれ、家にメイドがいるレベルの超大金持ち、おまけに成績も優秀でスポーツ万能と、まったく非の打ちどころがない。にもかかわらず、彼は全然モテない。さまざまな方法で彼女を作ろうとするのだが、上手くいかないのである。それを高校生活の三年間という時間軸の中で描くわけだから、読んでいて痛い! ホント、読んでいると青春のさまざまな黒歴史が蘇ってきて、本当に痛い! そんな痛さと共に可哀想になってくるほど、完璧超人な設定の聖也は彼女ができないのだ。モテないわけじゃない。意中の女のコとデートする機会はある。けれども、上手くいくことはまったくない。

「どう考えても付き合うだろ」みたいな関係になった林さんには、クリスマスの夜に電話で「別に何もなかったじゃないですか、私たち」と残酷に切られる……(3巻)。年上彼氏と別れたスキをついて関係を深めた早乙女先輩は、彼氏とよりを戻したとかで、やっぱりあっさりとサヨナラ……(4巻)。最終巻で、もうこれは付き合うだろうと思った椿には「勉強頑張ろ……」と、脈なしの事実を突きつけられるのだ(キスまでしたのに……)。

 とにかく、モテないわけじゃないのに、最後の一押しで上手くいかない。逆に、中学時代からの友人・菊池に告白された時には、ほかに意中の女子がいたから正直に断ってしまう……(2巻)。と思ったら、菊池がほかの男といい感じになった途端に「付き合うのは俺だ」とその男に宣言したり……(8巻)。

 もうね、この主人公、純粋すぎるし欲張りすぎるんだよ! ともあれ、何かあると夜の山に駆け込んで倒れたり、現実逃避か海外留学しようとするあたりが、ひと昔前の青春っぽくて気持ちいい。

 かくして、最終巻では聖也が原稿用紙に書いた「なぜ私には彼女が出来ないのか?」という文章を見開きページを使ってそのまま掲載したりと、モノローグで語る展開が続出。次第に「これは作者の青春への後悔の物語だったのか?」とも錯覚させてくれる。

 こうして、物語は3年かけても結局彼女はできなかったという悲惨な最期になったわけだが、まだ希望はある。なにせ最終話で聖也は東京大学に合格しているし。うん、家も金持ちだしこれからは逆に人生ハッピーすぎるだろ。もっとも「一生懸命勉強して東大に入ったのに、全然モテない」と悩む東大生はリアルに多いけどね。
(文/ビーラー・ホラ)

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