Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第15回

「あぶあぶ美人のオシッコだ」もはやギャグ漫画!? 時代を感じるエロ漫画『肉感ゲーム』の威力

 しかし、『肉感ゲーム』はエロマンガではあるのだが、ヌケない。いや1カ月ぐらいオナ禁生活をすればヌケなくはないかもしれないけど、そんなに禁欲したなら違うネタでヌキたい。

 36年前ならヌケたのだろうか? ちょうどぼくが6歳の頃である。その頃、最初に性的興奮を覚えた本は、父親が持っていた「週刊ポスト」(小学館)のグラビアだった。パラパラとヌード写真をめくって、

「ああん、股間がもぞもぞする〜」

 と思ったものである。

 その当時のグラビア出てた人はもうみんな閉経してるんだろうな〜。せつないな〜。そうそう、「ポスト」には『弐十手物語』が連載していたのを覚えているが、小学生が読みたい漫画じゃあなかった。当時『体感ゲーム』と出会っていたら、僕は興奮していたのだろうか?

 う〜ん。答えは分からないけど、出会わなくてよかった……かな。

 では、オナニーの道具として使えないエロマンガはなんの役に立つのか?

 答えはひとつである。「ギャグ漫画」として読むのである。正直、漫画を読んでいて久しぶりに声を出して笑ってしまった。12編の短篇集なのだが、それぞれ笑いどころがある。

 男が強引に女のハンドバックを開けると、中から剥き身の、ぶっといフランクフルトソーセージが出てくる。

「夜食にしようと思って…」
「夜食? ソーセージ一本だけか? どうかな…どこから食べるんだろうなァ」

 というエロ展開なのだが、ハンドバックに剥き身のソーセージを入れないだろう。もう財布とか油でベッタベタになっちゃうよ。

 そしてどのページも名言だらけ。

「あぶあぶ美人のオシッコだ」
「おシッコじゃなくバルトリン液を出しなよええ」
「しまったあんまりいい気持ちだったもので警戒をおこたった!!」
「ブドウ糖を注射してやろう」

 まあ、言葉だけ見るとよくわからないかもしれないけど……。

 そして、当時の時代背景を知ることもできる。繁華街なのに道路が土だったり、隠し撮りするのが8ミリフィルムだったり。ホームレスのことを汚いルンペンと呼んだり、33歳のイケメンに「33歳でいままでに結婚歴がないなんておかしいわ」と思ったり。

 昭和という時代を思い出す、強烈な起爆剤になることは間違いない。まあ思い出してもオナニーの役には立たないんだけど。

 いや、しかしなんでAmazonはぼくにこの本を勧めようと思ったんだろうか? 面白かったからいいけどさ。

●村田らむ(むらた・らむ)
1972年、愛知県生まれ。ルポライター、イラストレーター。ホームレス、新興宗教、犯罪などをテーマに、潜入取材や体験取材によるルポルタージュを数多く発表する。近著に、『裏仕事師 儲けのからくり』(12年、三才ブックス)『ホームレス大博覧会』(13年、鹿砦社)など。近著に、マンガ家の北上諭志との共著『デビルズ・ダンディ・ドッグス』(太田出版)、『ゴミ屋敷奮闘記』(鹿砦社)。
●公式ブログ<http://ameblo.jp/rumrumrumrum/

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