──飛行機マニアとひと口に言えど、その楽しみ方は実にさまざま。機体に乗ることを楽しむファンもいれば、各パイロットのファンにグッズ収集マニア、エンジン音マニアなど、幅広い。そこで、ここでは最も身近な“飛行機写真”の世界を覗いていただこう……。
#ヒコーキ撮影中級テク~流し撮り~シャッタースピード編
ヒコーキ撮影にもそろそろ慣れてきたという方にオススメしたい撮り方が、「流し撮り」という方法です。これは乗り物をはじめとした、いわゆる「動きもの」の撮影において代表的な撮影テクニックのひとつです。失敗写真の代表的な例として語られることの多い「ブレ」ですが、流し撮りはこのブレをうまく活かした撮影手法。被写体であるヒコーキを止め、背景を流すことなどにより躍動感やスピード感を表現することができます。流し撮りには「ズーム流し」などもありますが、ここではヒコーキ撮影においてよく用いられるオーソドックスな「横方向への流し撮り」を解説していきましょう。
普通の離着陸カットやタキシングショットにひと工夫ほしい時、背景がゴチャついている時など試してみてください。
流し撮りをするにあたり、まずはじめにシャッタースピード(以下SS)の設定をしましょう。ここでは最も流し撮りに適したデジタル一眼レフカメラを基準にお話しますが、シャッタースピード優先モードを使うと便利です。
流し撮りの基準値としてSS1/125という数値が有名ですが、ヒコーキはゆっくりタキシング(地上を移動すること)している時もあれば、離陸の際にスピードが出ている時もあります。機体のスピードに合わせ、背景が流れるようにSS数値を上下させると良いでしょう。同じシーンを撮影したとしてもSS1/30の場合と1/125の場合では、前者の方が多く背景が流れるためよりスピード感が出ます。ただ、SSは遅くなればなるほど背景だけでなく機体もブレやすくなるので注意が必要です。まずは自分がどの程度のSSなら機体をピッタリ止められるのか各シチュエーションで試し、理解することが上達への近道。だんだん慣れてきたらSSを下げていき、背景を大きくブラすチャレンジングな作品に挑戦してみてください。
ちなみに、☆(筆者)はタキシング時を撮る場合はSS1/2~1/20、着陸の場合はSS1/5~1/50、離陸の場合はSS1/15~1/125くらい。天候や得られる露出、レンズの焦点距離などによりますが、概ね真横カットを流し撮りする際はこのような数値を使用しています。ただ、快晴のもと順光で撮影を行う際、このようなスローSSでは適正露出が得られない場合がある他、絞りすぎによる回折現象(ピントがボケたようになる)の心配もあります。その場合は、ND(減光)フィルターを使用したりしましょう。
……と言ったものの、☆の場合は快晴の順光下でバリバリに流すことは稀。朝夕や夜、曇天の日など、無理なく流せる時に流し撮りをすることが多くなっています。夕暮れから夜にかけては、刻一刻と露出が厳しくなります。この時、ISOを上げずSSを落とすことにより流し撮りを楽しんでいます。
さて、次回は流し撮り編の第2回。その他の設定や機体の追い方などを解説させていただきますね。
●A☆50/Akira Igarashi
フリーフォトグラファー兼グラフィックデザイナー。イカロス出版の発行する「月刊AIRLINE」「航空旅行」などで航空写真の連載記事制作などをおこなうほか、カレンダー撮影、航空会社の広告撮影などを担当。仕事でもプライベートでも飛行機撮影を行う生粋の飛行機好き。写真家として活動するだけでなく、DTP/WEBデザイナーやライターとしても活躍中! ガンダ◯好きだがニュータイプにはほど遠い。
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