現役アイドルは、“アイドルの多様化”に注目している!? 「@JAM EXPO 2014」トークショーレポート

2014.09.17

イベントMCのお手伝いを務めたハコイリムスメ。(C)@JAM

 8月31日、横浜アリーナで、世界から注目を浴びる日本のアイドルの魅力を紹介する“国際音楽見本市”として、@JAM EXPO 2014が開催された。その中の、トークステージのひとつでは、「出張! AKIBAカルチャーズ劇場〜アイドルはまだまだ面白くなる!〜」と題したトークショーが行われ、秋葉原最大級の常設劇場であるAKIBAカルチャーズ劇場に縁のある、新人アイドルからベテランアイドルまでがゲストに登場。今のアイドル界に思っていることやアイドル界への期待、アイドルになって驚いたことなどについてコメントを寄せた。

多くのアイドルファンが集まった。(C)@JAMイベントに登場した福岡発のアイドルグループLinQ。(C)@JAM

 面白かったのは、若い新人アイドルたちの発言。アイドルになって驚いたことを聞かれ、「メジャーデビューが決まったこと」(アイドルネッサンス)など、質問意図とずれた回答をし、初々しい感じが漂っていた。中には、「横浜アリーナで公演できたこと」(amorecarina)と素でおいしいコメントを答えるアイドルもおり、会場から拍手が送られていた。もちろん、虹のコンキスタドールのメンバーが「アイドルになったら、今まで仲良くなかった子とかが、声をかけてくるようになった」と、意図を汲んだ裏話を話してくれたりと、アイドルになって変化する生活の様子も語られた。

 一方の、ベテランアイドルには、「今のアイドル界について、どんなことを思っているのか」という質問が。「私たちはルックスで売っていないので、パフォーマンスを見て欲しい」と話す、愛乙女☆DOLLは、「アイドルには、“女の子”というイメージがあるけど、最近は男女が混ざったグループも増えているから、いろんなアイドルが出てきているのが面白い」とコメント。“純白アイドル”として正統派アイドルを貫いているさんみゅ~も、「ロック系などのたくさんのアイドルがいて、刺激を受ける」、仙台のDorothy Little Happyの妹分、Party Rocketsも「PASSPO☆さんやでんぱ組.incさんなど、曲調がまったく違うアイドルがいるのがいい」などと話し、ベテランアイドルたちは、全体的にアイドルの多様化に注目している様子だった。

 確かに、今のアイドル界は多様化し、海外のメタル界からも評価が高いBABYMETALや、ラップファンからも注目されているライムベリーなど、アイドル界以外からも評価を受けるグループも目立ってきている。男女混合ユニットという点でも、Dream5や青SHUN学園などが、対バンライブで女性アイドルを観に来た男性ファンからも支持されて人気だ。また、今回の@JAM EXPOに出演したアイドルにも多く見られたが、PASSPO☆やベイビーレイズ、そしてParty Rocketsなどのように、王道のアイドルソングではなく、ロックミュージックを歌うアイドルも増えてきている。ロックを掲げるアイドルが数多く出てきたのは、今の時代になってからと言われている。

 アイドルたちも、アイドル界の多様化を肌で感じ、より自分たちの個性を出そうとしているようだ。最年長メンバーが26歳というアイドル界では年齢高めなユニット、Chu-Zも「今のアイドル界は、かわいいだけじゃ物足りないので、カッコいい面を出していきたい。“アイドルはひらひらのスカートを履いている”などの固定観念を覆すようなアイドルになりたい」と、アイドル界をより面白くするための意気込みを語った。もしかしたら、これからのアイドル界は、正統派アイドルの方が珍しくなるのかもしれない!?

 今回のトークショーは、新人アイドルからベテランまで、そして、幼いアイドルから大人のアイドルまで、幅広い層の現役アイドルたちに、今のアイドル業界について質問していた試みが、興味深かった。しかし、時間の都合などもあるせいか、深く掘り下げた議論に至らなかったところは、結果的にアイドルたちの“出演ステージの宣伝”で終わってしまった感が否めない。テーマや試み自体は、面白かっただけに、もっとアイドル業界を盛り上げるヒントを見つけられる、トークショーの開催を期待したい。
(取材・文/桜井飛鳥)

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング