Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第14回

読んでいるだけで自分も強くなった気がする!『柔道部物語』に感化された青春時代

――今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

140907_rum.jpg(イラスト/村田らむ)

『柔道部物語』(講談社)は、僕が最も繰り返し読んでいるマンガのひとつである。

 中学校から高校にかけて「週刊ヤングマガジン」(講談社)の連載を読んで育ち、単行本も買いそろえて何度も読んだ。大人になってからは文庫本を買ったし、このたびKindle版を買った。ずいぶんお金をかけてきたマンガだが、それくらいの出費は屁でもないほど好きな作品なのである。

『柔道部物語』は、主人公・三五十五が、高校入学時に柔道部に入部し、柔道家として、人間として成長していく話である。とてもシンプルな話で、下手な仕掛けなどはない。

 中学時代は吹奏楽部で体育会系の部活とは興味がなかった主人公が、興味本位で柔道部をのぞいてみるのだが、そこは前時代的で非常識なシゴキを受けている厳しい部活だった。ほとんどの新入部員は辞めてしまうのだが、主人公はこのまま辞めてしまったら負けだ……と思い続けていく。

 体育会系の部活には縁がなかった僕だが、この“後輩リンチ”は経験がある。今から20年以上前に九州の大学に入学し、映画研究部に入部した。なんせ映研だし、おだやかなサークルだと思ったのだが……これがなぜかバリバリの体育会系サークルだった。

 新入生歓迎コンパは、山中のお寺で開かれて、先輩に注がれた芋焼酎ストレートは有無を言わず何杯でも一気。吐きたくなったら、外で吐いて、吐いたら戻ってきてまた一気。急性アルコール中毒になった後輩は、酔っ払ってる先輩の運転で病院に搬送する。

 朝方は死屍累々で、僕は吐きすぎて喉が切れて血を吐いた。

 完全に法律は無視しているし、死者が出なかったのはただ単に運が良かっただけなんだけど、まあ当時はこんな光景は当たり前だった(と思う)。

 そんな無茶をしたら、多くが辞めるし、特に女性部員はいなくなってしまった。本当に意味のないリンチなのだが、残った部員は来年後輩に血を吐くまで飲ませてやる……と心に誓って部活を続けるのである。ネガティブなことこの上ない青春である。

 しかし三五は柔道を続けるうちに、

『強くなりたい』

 という思いにとりつかれる。スポーツマンガらしいとても健全な願いだ。

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