『ドラゴンボール』『おジャ魔女どれみ』『ハリケンジャー』…作曲家・池毅が制作秘話と共に語る“アニメソング”

■アイドルからアニソンへ…80年代にガラリと変わったアニソンの制作状況

──その後、『ドラゴンボール』オープニングテーマ「魔訶不思議アドベンチャー!」、エンディングテーマ「ロマンティックあげるよ」の作曲を手掛けられました。

 たまたまオーディションに受かっただけです。手掛けたとか、そんなに偉そうなことはとても言えません。ただ、この曲以降に指名で仕事がくるようになりました。ある打ち合わせに行ったら、とあるディレクターから「今、テレビで『ドラゴンボール』やってるでしょ。ああいう元気のいい曲作ってよ」みたいな話をされて、「その作曲、僕ですけど」って言ったら、びっくりされたということもありました(笑)。アレンジの田中公平さんの力も大きいですね。斬新なアレンジが衝撃的でした。ちょうど80年代半ばに、僕ら世代がドーンと世に出て行ったという印象です。

──この時代はアニメソング業界に新進の作家が参入するようになった時代ということですか?

 そうです。というのも、アイドルブームがだんだんと収束していって、楽曲を提供する場がなくなっていった。そこで今度はアニメの主題歌・エンディング・アルバム用楽曲などを書くようになったということです。

──その結果、70年代に活躍した作曲家たちの影響力が強かった80年代前半に対して、80年代半ばからアニメソングに携わる作家の顔ぶれがガラリと様変わりしたわけですね。

 それまでの、たとえば歌詞にアニメのタイトルや主人公の名前が入っているような、わかりやすい、いわゆる「テレビまんが主題歌」の時代から曲作りのスタイルが変わってしまって、まさに過渡期といえる時代でした。

──アニメソングといわゆる一般のポップスを比較して、作曲される上でどういう違いがありますか?

 生身のアーティストに書くよりは、アニメソングはイメージを膨らませやすいという面はありますね。すでにしっかりとしたお話(ドラマ)があるので、その世界からヒントをもってくることができる。『ドラゴンボール』だと、ちょっとチャイナフレーバーを入れてみようかとかね。アニメというイリュージョンに乗っかってしまえば、より強力な世界観を追求できる。だから、自分にとってアニメソングは性に合っていたのかもしれない。

──池さんの作られるアニメソングは、確かに幅広いジャンルをカバーしていますね。

 実は潜在的に色んな音楽がやりたかったんでしょうね。どうもフォークソングというジャンルに収まらない曲を昔から作っていたみたいです。

■アーティストのストーリーを肩代わりしてくれるアニメソング

──個人的には國府田マリ子さんが歌っていた『ママレード・ボーイ』の挿入歌「MOMENT」がすごく好きなんです。朝放送されるアニメとは思えない、トレンディドラマのような大人っぽい曲調がたまりません。

 ああ、そういう受け取り方なんですね。國府田マリ子さんは今もそうですが、当時アイドル的な人気があって、その絶頂期でした。そんな事情もあってか、最初にキャラクターソングではなく「國府田マリ子さんに曲を書いてくれ」というオーダーをもらいました。だから、アイドルとかアーティストに曲を書くつもりで作ったんです。とにかく國府田さんは歌がうまいし美しい方ですから、アニメにインスパイアされたというよりも、國府田さんにインスパイアされて作ったという思い出があります。

──そういう風に作られた曲が、今や立派なアニメソングとして認知されているというのも不思議ですね。

 本当にね。「MOMENT」が好きだと言ってもらえることが多いですよ。皆さんのご支持のおかげです。

──さまざまな表現を可能とする一方で、人によって受け取り方が異なるアニメソングですが、改めて池さんはアニメソングをどんな音楽だと思われますか?

 物語を背景にすることで楽曲の世界観が広がり、聴き手のイマジネーションも膨らむという相乗効果のある音楽だと思います。通常、アーティストがこのドラマ性とイマジネーションを手に入れるには相当なキャリアの積み重ねが必要じゃないでしょうか。

──アニメという存在が、シンガーのバックボーンを肩代わりしている要素があるということですね。

 その通りですね。アニソン・シンガーにとってはある意味、とても有利なことだと思います。

『ドラゴンボール』『おジャ魔女どれみ』『ハリケンジャー』…作曲家・池毅が制作秘話と共に語る“アニメソング”のページです。おたぽるは、インタビューアニメアニソン特撮その他の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!