『ドラゴンボール』『おジャ魔女どれみ』『ハリケンジャー』…作曲家・池毅が制作秘話と共に語る“アニメソング”

2014.09.02

池毅氏作曲の魔訶不思議アドベンチャー ! ~2005~。ほかにも有名曲多数!

ドラゴンボール』のオープニングテーマ「魔訶不思議アドベンチャー!」、エンディングテーマ「ロマンティックあげるよ」、『ドラゴンボールZ』エンディングテーマ「僕達は天使だった」、『チンプイ』エンディングテーマ「シンデレラなんかになりたくない」、『おジャ魔女どれみ』のオープニングテーマ「おジャ魔女カーニバル!!」、『忍風戦隊ハリケンジャー』オープニングテーマ「ハリケンジャー参上!」などなど……。80年代から現在に至るまで、常に子供たちの心をとらえて離さないアニメソング、特撮ソングを多数生み出してきた作曲家。それが池毅だ。

 これまで世に放たれた楽曲は、実に2000曲以上という膨大な数に及ぶそうだが、そんな彼のキャリアの中から、特に80年代~90年代のアニメソングを中心に選曲。生バンドでカバーするというライブイベント「作曲家 池毅オンリーイベント ~ぜんぶ先生が作りました~」が、9月15日に開催される。

 カバーを手掛けるのは、アニメソング界の兄貴こと水木一郎のバックを支えるコーラスグループ「ザ☆カインズ」のJUNと、彼が率いるスペシャルバンド。彼らが、リスペクトの心を込めて力強いバンドサウンドで楽曲を再現。

 さらにドラゴンボール芸人として知られる渡部一丁(ピッコロ芸人)、山本正剛(フリーザ芸人)も応援にかけつけるということで、まさにお祭り騒ぎなイベントになること必至!

 そこで、池毅本人にアニメソング業界に至るまでの足跡や、名曲アニメソングが生まれた裏話について尋ねてみた!

■フォークグループのミュージシャンから作曲家への転身!

──もともと池さんは、79年にフォークグループ・He-Story(ヒストリー)のメンバーとしてデビューしミュージシャンとしてのキャリアをスタートしたそうですが、そこからアニメソングの世界に行くまでにどういう経緯があったのでしょうか。

池毅(以下、) デビュー当時はアリスが全盛の時代で、どのラジオのキー局でもアマチュアフォークソングのコンテストをやっていました。僕らもその一つに出場していて、関東地区を勝ち抜き、全国大会に出場しましたが、残念ながら入賞すらできませんでした。そんな中、まだ前年の優勝グループがデビューしていなかったということで、彼らのデビュー曲として僕らの曲を提供してくれないか?と主催者側から言われたんです。でも、僕たちもプロを目指しているわけで、ただ提供するだけだと僕らの立場がないじゃないですか(笑)。そこで、提供する代わりに僕らの他のレパートリーも聴いてくれないか、とお願いしたわけです。それで自分たちのレパートリーをスタジオで演奏してオーディションしてもらった結果、デビューさせてもらうことになりました。

 デビュー曲は、筒美京平さんと阿久悠さんというゴールデンコンビの作品でした(He-Storyの「結婚します」)。TBS系ドラマ『熱愛一家・LOVE』の挿入歌ということもあり、スマッシュヒットしました。さすがプロフェッショナルな作詞作曲家の作品作り、さらにテレビの威力というのは凄い! と、その時に思い知りました。今思えば、自分がその後作曲家を目指すことになる伏線だったと思います。シングル5枚アルバム1枚を発表し約2年半活動しましたが、残念ながらグループは解散しました。

 その後、僕は事務所に残って所属タレントさんや役者さんのコンサートのサポートをしたりレコーディングに参加したり、現場で勉強させてもらいながら曲を書きつつ、あれこれオーディションに応募し始めたんです。それが少しずつ受かるようになっていって、作曲家として少しずつ足がかりをつかんでいきました。

──作曲家への転身に成功したわけですね。

 職業作曲家にはさまざまなジャンルのオーダーがくるんです。アーティストへの楽曲提供からCM音楽まで、ありとあらゆるジャンルの音楽が書けないといけないから、その都度要求されるサウンドを必死で研究しましたね。そんな中、アニメソングの仕事もするようになりました。

──一番最初に作られたアニメソングは覚えてらっしゃいますか?

 それは『超獣機神ダンクーガ』エンディングテーマの「バーニング・ラヴ」(作詞は松井五郎)です。これは最初「エンディング用にロック風の曲を書いてほしい」と言われてメロディ先行で書いた曲です。どなたかボーカリストに歌ってもらうつもりで作ったのに、レコーディングの日程が決まっても見つからず、このままでは締切に間に合わない……ということで急遽私が歌うことになりました(笑)。当時は“アニソン”という言葉もない時代で、今から思えばせっかくのエンディング枠がもったいないと思うのですが、逆に言うとまだアニメソングがビジネスになるなんて、制作者側もあまり思っていなかったんでしょうね。

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