『お前はまだグンマを知らない』がヒットした理由 “群馬秘境ネタ”は群馬県庁公認!?【インタビュー前編】

 今、群馬県の実態を描くコメディマンガ『お前はまだグンマを知らない』が、TwitterやFacebookで「すごくヤバイ」「グンマ怖すぎるよ」などと話題になっています。

 元々、群馬県はインターネット上でたびたびネタ化されていました。しかし、ただのネタではなかったのです! 実は、本当に群馬県内には面白おかしいスポットが満載。群馬県を知らない人がこのマンガを読むと、思わず本当に日本が舞台なのか目を疑ってしまうような事実がつまっています。

 そんな『お前はまだグンマを知らない』の2巻が8月9日に発売されたということで、作者の井田ヒロト先生に大ヒットした理由について迫りました!

――今回、2巻が発売されたということで、ヒットの理由や制作秘話なんかをお聞きできればと思ってます。今、色々なところから取材を受けていると思うのですが、どのような心境ですか? こそばゆい感じですか?

井田ヒロト(以下、井田) ヒット(してるかどうか判然としませんが)の理由は、ネットのニュースサイトさんと書店さん、および各メディアと読者の人たちの拡散力のお陰だと思っています。取材に関しては、自分はただ群馬のことを実直に描いているだけなので、取材が来ること=群馬が関心を持たれていることだと解釈しています。だから、群馬県の営業をするようなつもりで描いているし、また取材を受けている感じです。

――なるほど。このマンガを描かれている最中、「これはいける!」みたいな手応えはありましたか?

井田 「これはいける!」というか、今までの人生で一番、やりたい放題やらせていただいているので、単純に楽しいです。まだネットに載らないうちから、友達に「今までお前が描いたマンガで一番面白い」と言ってもらえたのは嬉しかったですが、複雑でした……(笑)。

――すごいですね。やりたいことをやって大勢の人を楽しませているわけですから。それでは、この作品のどのような部分が読者に刺さっていると思いますか? 井田先生の中で、最も刺さった反響など教えてください。

井田 小ネタ(『ジョジョの奇妙な冒険』とか『進撃の巨人』ネタとか)は好きでやっているだけなので、あまり読者の存在を意識していないような気がします。一番の読者である自分がまず面白いと思うマンガでなきゃいかんとは思うので。そんな中で最も“刺さった”反響は、たまに「このマンガ嫌いすぎて、本屋に置いてあるのを見るのも不快」という反応を見かけた時……。けどそういうのは正直、その人の気持ちがよくわかるので、嬉しいです(笑)。これって、群馬県が自分の一部になっていなければ出てこない反応だと思いますしね。

――その人にとっては「俺の大好きな群馬をバカにするな!」って心境なんでしょうか……。

井田 群馬県の本屋さんは本当にこっちが「大丈夫か!?」と心配になるほどにガン推ししてくださっていて、書店によっては入ってすぐのワゴンに山盛りで展開されているところもあるので、そういうのを見て「俺の群馬を面白半分で揶揄しやがって」と、不快に思う気持ちもよくわかるんです。でも、書店員さんは本気の群馬愛込みで推してくださっているし、こちらも気持ちとしては後ろ暗いものは何もなく、ただ群馬の営業をするつもりで描いているだけなので、これからも変わらずやっていくだけですね。

――なるほど。あと、このマンガを出すことで群馬のここが変わった気がする、とかありますか?

井田 マンガを出すことで地域のここが変わった……というのは正直わかりません。というのも、今年は群馬県色々話題になることがあったので(富岡製糸場が世界遺産に登録されたり、高校野球での健大高崎の活躍とか、群馬が舞台である来年の大河ドラマ『花燃ゆ』とか)……。総合的に群馬人が群馬を以前より意識するようになったような気はしています。

 ただ、そもそも群馬自身が近年、自虐ネタや誇大ネタ、秘境ネタなどで弄られ過ぎて県知事も耐性が付いてきたような感じがしますね。

 去年から年一の「GUNMAマンガ・アニメフェスタ」というイベント内でマンガを募集しているんですが、去年マンガ部門で賞を取った、群馬県をテーマにした作品はもうなんていうか群馬県がドラクエの世界みたいになっていました。それに賞を取らせるんだから、こういう「群馬の新解釈」は県知事公認と思っていいんじゃないかと思います。それと、自分的にはこのマンガの中のグンマはちょいちょい自分の理想の、「だったらいいな」な群馬県かもしれません。例えば、高崎市にある新町駐屯地に最新鋭の戦車が配備されているところとかはそうですね。

――なるほど。もしかしたら、それこそが大勢の読者の心を動かしたポイントかもしれませんね。

※※※※※※
 というわけで、なんと『お前はまだグンマを知らない』は井田先生も予想外の大ヒットだったことが判明しました。舞台裏がわかると、何だかちょっと意外でビックリしませんか? ただ、今回の取材を通して、井田先生が群馬県をこよなく愛してらっしゃることがひしひしと伝わってきました。群馬県は秘境ネタが元々注目を集めていましたが、やっぱり本当に愛情を持って描かれているからこそ、面白くてできていて、それが読者のハートをわしづかみにしているんですよね。

ヒットの背景はここまでとして、次回は制作秘話をお伝えします!
(取材・文/水野渚紗)

■「お前はまだグンマを知らない」(くらげバンチ)
http://www.kurage-bunch.com/manga/gunma/

☆後編はこちら

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