会場はほかの映画祭が複数の施設にまたがるものの、同映画祭ではアステールプラザのみとコンパクトだ。同会場は、昨年に第52回日本SF大会が開催されたので、ファンにはイメージしやすいだろう。
ちなみに第7回(98年)には、昨年逝去した特撮の巨匠ことレイ・ハリーハウゼンが国際名誉会長を務めている。今回は同映画祭の実行委員会設立から30周年となったことを記念して、歴代名誉会長の作品特集や30周年企画も組まれていた。
実行委員会に広島市が加わっていることから、同映画祭の会長は広島市長が務めている。しかし、21日の開会式では松井一實市長が欠席し、代理で祝辞が読み上げられた。これは前日20日の豪雨に伴う土砂災害への対応に追われていたためである。その被害の大きさから、松井市長は最終日25日の授賞式および閉会式も欠席した。式の開始前には犠牲者を弔うべく、会場一体で1分間の黙祷も捧げられた。
今回のコンペティションでは、イギリスの学生、デイジー・ジェイコブズさんが制作した『ザ・ビガー・ピクチャー』がグランプリを受賞した。同映画祭のディレクター・木下小夜子さんは「(同映画祭では)過去に学生のグランプリ受賞は2回あるので、(部門分けがない中で)学生がグランプリを獲れるチャンスがある」と、次回を見据えて作品の応募を考える学生たちへさらなる奮起を促した。
それから木下さんは閉会式にて、土砂災害を踏まえてスタッフに「いつものように運営してくれて感謝している」と礼を述べ、また今回、ノミネートに日本の作品が選ばれなかったことに触れつつ、予選で選考を務めた各委員を改めて紹介して労った。閉会式後、各受賞作品の上映前には『クラック!』が特別上映された。これは昨年末に同作の監督フレデリック・バックが逝去したことを受けての企画で、彼と同映画祭とは第2回で『木を植えた男』、第5回で『大いなる河』と2度グランプリを受賞した縁もある。
同映画祭のテーマは「愛と平和」と定められている。今回の土砂災害を受け、今後そのテーマとは別に、思いを新たにしていくことになるのは間違いない。
これから数回にわたり、同映画祭関連の記事を公開していくので、是非チェックしてほしい。
(取材・文/真狩祐志)
■広島国際アニメーションフェスティバル
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