三谷幸喜やキアヌ・リーヴスにも影響を与えた!? 『思い出のマーニー』に込めた美術監督のこだわり

 現在、公開中のスタジオジブリのアニメ映画『思い出のマーニー』を始め、 『キル・ビル Vol.1』『THE 有頂天ホテル』『ファイティング・タイガー』『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』といった錚々たる映画で美術監督を務める種田陽平。クエンティン・タランティーノやキアヌ・リーヴス、三谷幸喜らがこぞって絶賛する彼の仕事ぶりに、25日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)が密着。番組では『思い出のマーニー』制作現場の様子なども映されていた。

『思い出のマーニー』は、種田にとって初めて本格的なアニメの美術監督に挑戦した作品。本作公開2年前の2012年8月から作品の舞台となる北海道を周り、イメージを作りこんでいったという。そして、背景画を担当する種田は、この作品で“今までのアニメを超えるためのひとつの戦略”を持ち込む。それは「背景を細部まで徹底的に描き込む」ということ。一般的に、キャラクターを引き立たせるために背景の情報を減らすことが多いアニメだが、本作で種田はその常識に挑んだというのだ。種田は「情報量の多い背景には深みがあるから」と、その理由を語っていた。

 建物の構造を元にスタッフに描き方を指導したり、リフォーム後のマーニーの屋敷に違和感を覚え、かつての面影が残る屋敷が描くことを決めるなど、細を穿つ種田。映画公開まで2カ月を切った6月2日の時点でも、米林昌宏監督がOKを出したシーンも徹底的に見直し、草木の線の数や地面の明るさなど、完成ギリギリまで微調整を続けた。監督ですら「(違いが)よく分からない」と苦笑するほど、細かい修正を続ける姿が捉えられていた。こうした種田のたゆまぬ研鑽によって、『思い出のマーニー』の背景全1145カットが制作されたという。

 そのほか番組では、種田の半生に加え、Perfumeの最新シングル「Cling Cling」のミュージック・ビデオ(MV)の舞台が種田の発案で“地下の廃工場跡に移民たちが勝手に作った地下のマーケット”となった経緯や、『ファイティング・タイガー』で監督を務め、種田に美術監督を依頼したキアヌ・リーヴスからの賛辞などを放送。

 特に、『THE有頂天ホテル』ほか、多くの作品で仕事をしている三谷幸喜は「セットありきでそこから(ストーリーを)考えていく、移動している空間も作ってしまって、そこにも物語を埋めていこうみたいな、通路にもいろんな意味がある」ことを種田から学んだと語り、自身の製作スタイルに大きな影響を及ぼしていることを明かした。

 国内外から絶賛される種田の美術。このようにして生まれた背景美術に目を凝らせば、きっと映画やアニメを観るときに楽しみ方がひとつ増えるはずだ。

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種田さん起用の裏側には、やっぱり”あの人”。

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