誰かのものになった時、アイドルはアイドルでなくなる――天秤にかけられた「女の幸せ」と「アイドルの成功」

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　個人的には、スタッフになっていくファンにあまり好印象がありません。ほかの熱心に応援しているファンに対して、ずるいと思ってしまうからです。しかし、それをどう感じるかは人それぞれで、「運営もブログも、誰も私のことなんか見てないと思ってたのに、人気のメンバーよりも私を推してる人がいることに感動しました」と、彼女にとってはとても嬉しい出来事だったようです。

　感動と恋心が混同して舞い上がった彼女は、ツイッターのサブアカウントから彼にメッセージを送りました。アイドル用の公式アカウントはすべて運営が監視しているからです。そこでやりとりするようになってからは、普通の流れで付き合ったそうです。

　インタビューの時は強がって聞きませんでしたが、どういう流れにしたら“普通に付き合えるのか”教えてほしいものです。あと、私から読者のみなさまに教えられることがあるとすれば、彼女も所有しているというサブアカウント、アイドルさんの中では割と普通のことらしいですよ。

　しかし、付き合ったはいいものの、ほかのメンバーを撮影する彼にだんだんと耐えられなくなってしまったそうです。

「仕事だから仕方ないのはわかってるんですけど、特に人気のメンバーを撮影していると嫉妬しちゃうんです」

　友人から結婚を知らされるたび、引退して幸せになる道が頭をよぎりますが、アイドルとして売れたい気持ちが邪魔をすると言います。また、彼にグループの撮影を辞めてもらうことも考えましたが、アクセスが低いだけでブログの更新をサボってしまうのに、撮影してくれる人がいない現場で活動していける自信がないと悩んでいました。

「彼と一緒にいる時間も、ふと冴えないアイドルの自分を思い出して落ち着かない」。そう話した時の彼女が、一番苦しそうだったのを覚えています。

　アイドルが自分ひとりのものになった時、彼女はもうアイドルではないのかもしれません。彼女がどちらの道を選んだとしても、彼はもうアイドルの彼女に会えないのだと思うと、アイドルと付き合うのも考えものだなと思ってしまうのでした。

●姫乃たま
1993年2月12日、下北沢生まれ。日本の地下アイドル。2009年より都内でライブをする傍ら、ライターとしても活動を開始。イベントの主催や、司会、モデルとしも活躍している。おたぽるにて「特殊古書店ダリオ堂」を連載中の安田理央が監修したDVDマガジン「おしどりVS姫乃たま」絶賛発売中。
［地下アイドル姫乃たまの恥ずかしいブログ］http://himeeeno.hatenablog.com/
［姫乃たまのあしたまにゃーな］http://ameblo.jp/love-himeno/
［twitter］https://twitter.com/Himeeeno

 
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