「コミケスタッフを日給9000円で募集」の謎　求人サイトに掲載された紛らわしい募集広告とは

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「マイナビ バイト」内の募集ページより（現在は掲載停止）。

　すべてのスタッフがボランティアで運営されているはずのコミックマーケットが、時給でバイトするスタッフを募集？　マイナビの運営するサイト「マイナビバイト」に掲載された紛らわしいアルバイト募集広告が、関係者の間で問題となっている。

　今月に入って掲載されているのが見つかった募集広告は、渋谷区にある株式会社アシストポートなる会社が「8月15,16日限定」として日給9000円で募集していたもの。当初は「コミックマーケット86の運営スタッフ」と記載されていたが、13日の時点で「東京ビッグサイトで行われる超人気マンガが集まるイベント運営スタッフ」となり、現在は掲載を停止している。

　この募集広告が問題視されたのは、多くの人にコミックマーケットを主催するコミックマーケット準備会が募集を行っていると誤解を与えることになるからだ。そもそも、コミックマーケットは創設以来、全員が参加者であることを理念としている。客も運営スタッフもおらず、一般参加、スタッフ参加という呼称が用いられる。そして、スタッフとして参加しても賃金は一切支払われない。すべてがボランティア運営なのである。

　この募集広告は、会場内外に設置される業者の売店のスタッフを募集するもののようだが、知らない人がみれば、主催者が有償で募集を行っていると誤解を与えかねない。

　あまりにも紛らわしい求人広告だが、同様の件はマイナビでは初めての事例ではない。昨年には別の企業が「人気コミケイベント」と銘打ったアルバイト募集を掲載する事例も起きている。

　マイナビは、出版事業なども行う株式会社マイナビが運営する求人系のポータルサイト。近年は求人だけでなく賃貸情報なども掲載し、ポスト・リクルートの姿勢を示している企業だ。

　本サイトの独自取材によれば、昨年の時点でこうした募集広告に対して「まぎらわしい広告である」と関係者からクレームが伝えられているという。にもかかわらず、同様の事件を起こすあたり、マイナビは掲載にあたってのチェックが甘く問題意識に欠けているのではないだろうか。

　この広告について、マイナビに取材を申し込んだところ「ご指摘いただきました掲載内容について、誤解を招きかねない表現がございました。求人倫理要綱ならびに弊社原稿表記ガイドラインに基づき、掲載審査を行っておりますが、求職者の方に誤解を招きかねない点を鑑み、掲載を停止いたしております。今後、より正確で分かり易い情報記載に努めてまります」との回答であった。
（取材・文／昼間 たかし）