展示バブルでミュージアムに勝機? 「マンガ文化で熊本を活性化」を目指す有識者が集結!

1408_sojo1.jpg崇城大学公式HPより。

 2014年度から熊本の崇城大学芸術学部デザイン学科にマンガ表現コースが新設されたことを受け、8月7日、同大学にてシンポジウム「マンガ文化で熊本を活性化」が開催された。

 シンポジウムは京都精華大学国際マンガ研究センターの伊藤遊さんが司会、崇城大学芸術学部デザイン学科マンガ表現コースの小川剛さん、熊本マンガミュージアムプロジェクト (以下、クママン)の橋本博さん、湯前まんが美術館の兼田奈緒美さん、グランド12の松江慎太郎さん、北九州市漫画ミュージアムの表智之さんらがパネラーを務めた。これまでも県内外でさまざまな活動が行われてきた中で、当シンポジウムでは新設のマンガ表現コースが、どのような立ち位置となるのかにも注目が集まった。

■数多の出身マンガ家に、漫画フェスタ…熊本の“マンガ力”

 まず小川さんがマンガ表現コースの概要を説明した。同コースでは「描く力を身につける」「マンガ文化を理解する」の柱を元に、社会とどうつなげていくかという指針を示した。学生との地域プロジェクト「くまもと×マンガ」と題したクママン構想基礎調査では、全国にはマンガ関連施設が70以上あるなかで、熊本に縁のあるマンガ家などが96人いるといった地の利が見て取れた。

 次にクママン副代表の鈴木博之さん(熊本大学文学部総合人間学科)が経緯を語った。代表の橋本さんが運営するキララ文庫の蔵書を元に、10年に初めて熊本近代文学館にて開催した『戦後マンガ文化をささえた貸本屋-マンガ家水木しげるの時代-』が機運を高めたという。当時はNHKの朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の放送を背景に、会期中の入場者数が5000人超と人気を博した。今年は同県合志市が発行したマンガ『カタルパの樹~合志義塾ものがたり~』への参画もある(ちなみに合志市で広く話題を集めたものでは、11年の『合志市音頭 with 初音ミク』を思い出す人も多いだろう)。一方、クママンの橋本さんはマンガ表現コースの新設を機に、我々のやろうとしていることの大部分は大学が協力してくれたらできると期待を寄せた。

 実際に県内の自治体で関連施設を有しているのは、湯前まんが美術館を擁する湯前町である。兼田さんは、同町出身の風刺漫画家・那須良輔の生誕100周年を記念して1992年に開館したことなどの話で進行。風刺漫画大賞や、ゆのまえ漫画フェスタなどの開催により、年間の入場者数は5000人で、同町の総人口の4300人を上回っているという。宮崎県との県境に位置するが、くま川鉄道の終着地と観光でも人気にも関わらず、年間予算は大きな行政のイベント1回分であるのが悩みのようだ。

 パネラーの中でも学究的な視点ではなく唯一ファン目線なのがグランド12。松江さんを筆頭としてワンピース公園を作るべく09年から活動してきた。原作マンガを描く尾田栄一郎さんは同県出身でもあって協力的ではあるものの、集英社との契約上の関係もあり、実現までの道のりは難問が山積しているようだ。それでも根気強い活動を通して主人公・ルフィの声優でもある田中真弓さんとの付き合いが深まり、田中さんが熊本市中心街の下通商店街のアナウンスを務めるなどの実績も増えた。12年には合志市と包括協定を結べたことで県と熊本市の協力へとつながったそうだ。そして昨年は公園実現のための3万人の署名を熊本市長に手渡せたものの、新市長が就任したことによってこの署名が引き継がれたかどうかを心配していた。

コミック くまモン

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