アニメ業界人が語る、ひそひそ秘話 【第2回】

小遣い稼ぎからリベンジ目的まで――アニメ業界の“素材流出・転売”の実態とは?

■業者からの流出も!? 管理強化でも流出を防げない苦悩

 現在はネットの普及で個人でも簡単にオークション出品ができるようになると共に、売買目的でなくてもネットを通じて大規模な素材流出が問題視されるようになりました。これを受け、どこのスタジオでも「廃棄物の処理」と「人の出入り」は徹底して管理されるようになりました。さらにコンテ・アフレコ台本などの素材はあらかじめナンバリングを施して配布。漏れた際の“一次流出元”をたどれるようにすることで、流出に対する抑止力としました。廃棄時も産業廃棄物として業者に依頼するのが一般的となり、ゴミあさりによる流出リスクも減少したのです。

 ただ、こうした取り組みも業界的な規定があるわけでなく、あくまで各スタジオの自助努力の範囲にとどまっています。ナンバリングを施しても流出そのものを止めることはできませんし、明らかに産廃業者から素材が漏れて転売されたと思われる事例もあります。

 素材流出を語るうえでもう一つ欠かせないのが「デジタル化による弊害」です。近年はパソコン、タブレット端末の普及で、設定やコンテをデータの形で希望するスタッフも増えました。色指定などはすでにすべてデータでやりとりされており、紙素材は少しずつ減っていく傾向にあります。転売のリスクも低くなり、デジタル化が作業効率のアップに貢献していることは間違いありませんが、データはとにかく流出の危険性が高まるのが厄介です。ひとたび流出してしまえば急速にネット上で拡散し、作品そのものの印象を貶めます。10年にはアニメ『刀語』の制作会社が外部からのクラッキングに遭い、絵コンテや脚本を窃取されたことが話題となりました。

 デジタルデータは回収不能な形で拡散する可能性があり、かといって不便を承知で素材のデジタル化を撤廃しても、結局は昔と同じく転売対象にされかねません。頭の痛い問題です……。

■小遣い稼ぎに“リベンジ流出”も!? 流出の動機とは?

 次に、素材を流出させる動機について。

 流出犯がアニメ業界内の人間だった場合、まず動機として想像に難くないのが小遣い稼ぎ目的でしょう。昨今、現場スタッフの賃金の低さが話題になりますが、職種にかかわらず実力のある人はしっかり稼いでいます。不届きな行為に及ぶのは、実力に劣るプライドのない人間です。

 もう一つありうるのが、私怨による流出――仕事上の待遇や人間関係に不満があって、業界を去る覚悟で最後っ屁をかます“リベンジポルノ”ならぬ“リベンジ流出”といったところでしょうか。

 外部犯の場合は転売目的か、マニアックな収集欲が挙げられます。データを集計したわけではありませんが、いま流出・転売されて出回っている素材の出所は、どちらかといえば前述した産廃業者など外部の人間が多い印象です。というのは、関係者には必要な分の素材しか配布されないため、書き込みなどのない状態で手元に残すことは難しいからです。出回っているコンテや設定は綺麗な状態のものが大半で、これらは関係者に配布されずに破棄された余剰分が出元と考えられるわけです。

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