「smart」が乙女ゲームと異色のコラボ!?  オタクブームに乗りつつも“あるこだわり”を見せる宝島社

2014.08.12

「Rejet × smart」(宝島社)

 11日に発売された「Rejet × smart」。その名の通り、男性ファッション誌「smart」(ともに宝島社)が乙女ゲーム制作会社・Rejetとコラボレーションした一冊だ。表紙には『DIABOLIK LOVERS』の逆巻アヤト、シュウ、スバルがいつもの学生服姿とは違う、カジュアルな私服姿で登場しているように、本誌は「乙女ゲームのキャラクターと“現実の日常”でデートをするとしたら、彼らはどんな服を着るのかどうか、出演声優も巻き込んで今どきっぽくコーディネートした」というもの。「smart」は、これまでにも『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイが本誌の表紙を飾ったり、また別冊ムックという形で『TIGER & BUNNY』ともコラボをしてきたが、今回のRejetといった、乙女ゲームとタッグを組むのは初めて。そんな“異色”コラボが実現した「Rejet × smart」の中身は一体どのようなものなのだろうか?

 ページを開いてみると、巻頭から50ページほどは、『MARGINAL#4』などに出演している声優・KENNを筆頭に、Rejet作品に出演している声優たちのファッショングラビアを展開。その中で、声優たちは基本的にスタイリストが用意した服を着ているのだが、高橋直純だけは「すべて本人私物」のコーディネートをみせている。よく見ると、その衣装協力をしている株式会社KINCSは、高橋直純とたびたびコラボ商品を発売しているブランドのgoukを展開しているアパレル会社。そんな大人の事情(!?)も感じさせつつ、本誌中には声優たちインタビューなどといったものは一切なく、グラビアメインでファッションを見せるページ展開をしていた。

 そして、「惚れさせコーデ ガチンコ BATTLE」という特集では、『LIP ON MY PRINCE』や、『ドットカレシ -We’re 8bit Lovers!-』などといったRejet作品のキャラクターたちの私服コーディネートを紹介。掲載されているイラストは、今回のために各作品の描き手たちが書き下ろしたもので、いつもの制服やスーツ姿の時とはまた違った印象を受ける。そのほかにも、『ZEPHYR』がファッションブランドのBEAMSとコラボをして、キャラクターたちがBEAMSの秋の新作ウェアを着こなすという特集が見られた。モデルは二次元のキャラクターたちだが、コーディネートごとにファッションポイントが書かれていたり、またアイテムごとの金額が記載されているなど、ファッション誌である要素をところどころ見せていた。

「Rejet × smart」は、ファッション誌であるベースを保ちつつも、内容は完全に女性オタクに向けたという印象を受ける一冊だったが、書店によっては「Rejet × smart」が男性誌のコーナーに置かれるといったこれまた“異色”の現象が起きていた。また、「smart」だけでなく、宝島社のファッション誌がアニメやマンガを取り上げているようすは、ここ最近よく見られ、女性ファッション誌「CUTiE」(宝島社)も、先月の8月号で『弱虫ペダル』(秋田書店)を取り上げている(参考記事)。一見すると、ファッション誌がただオタクブームに乗っているだけのようにも思えるが、「CUTiE」の『弱虫ペダル』特集が「自転車ファッション」を紹介しているように、アニメやマンガを取り上げつつも、ファッションをしっかり押さえているようすが見られ、このスタンスは「smart」や「CUTiE」など、数多くのファッション誌を出版している宝島社なりのこだわりなのかも。今後もこの姿勢を崩さず、さまざまな作品との異色コラボをみせてほしいものだ。

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