モスラ、ラドン、キングギドラをどう映す!? 続編が決定した『GODZILLA』ギャレス・エドワーズ監督の演出力

1408_godzilla.jpgGODZILLA公式HPより。

 アメリカはサンディエゴで行われているコミコンで『GODZILLA』の続編製作の発表と共に、登場怪獣も明らかとなった。それがモスラ、ラドン、そしてキングギドラだ。お父さん世代は『三大怪獣 地球最大の決戦』を頭に思い浮かべ、子供世代は『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』を思い浮かべたに違いない。『バットマン』に『スーパーマン』に『パシフィック・リム』、そして『GODZILLA』と次々ヒット作を生み出すレジェンダリー・ピクチャーズの勢いは止まらない。

 レジェンダリー版『三大怪獣 地球最大の決戦』の監督は、『Godzilla』から引き続きギャレス・エドワーズが担当する。現在はロンドンで『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品の撮影中のため、コミコンには姿を見せなかったという。

 ギャレス監督は1975年イギリスのウォリックシャー州ヌニートン生まれ。幼少期に『スター・ウォーズ』を見たことで映画監督を目指したという。またケーブルTVで『ゴジラシリーズ』の洗礼を受けた。『ゴジラ』のクレイジーな映像ながらもシリアスな内容に、感銘を受けている。

 ギャレス監督は、VFXクリエイターとしてBBCやディスカバリーチャンネルで頭角を現した後、Sci-FIチャンネルの48時間映画コンテストにて、クルーなしで俳優を一人だけ使って製作した短編映画『Factory Farmed』を発表し、グランプリを受賞した。また広島に原爆が投下されるその『瞬間』を描いたBBCドキュメンタリ『HIROSHIMA』(2005年)でVFXを担当。

 そんなギャレス監督を一躍有名にしたのが、映画『モンスターズ/地球外生命体』(2010年)だ。本作は、 NASAが南米に落下させた地球外生命体が繁殖してしまい、生命体退治が日常化した世界が舞台。主人公のカメラマンが新聞社の社長令嬢を連れて、アメリカ国境を目指すロードムービーだ。タイトルとは裏腹に、劇中でほとんどモンスターは出現しない。廃墟に横たわる戦車や河にはまった戦闘機、散発的に聞こえてくる銃声、あがる黒煙などの間接的な描写が、姿はなくともモンスターの気配がする緊張感のある映像を生み出している。そのあたりは、『GODZILLA』の中で廃墟と化したジャンジラ市の風景に反映されているかもしれない。

 ゴジラの大ファンであるというギャレス監督の描く『GODZILLA』は、ゴジラ単体じゃなくて“VS怪獣もの”を選択した時点で快哉なのだ。そこに加えて、心得ているとしかいいようのない映像を次々と提示する。とにかく思わせぶりに登場の気配を匂わせて、ゴジラはなかなか姿を現さない。ついに出現したかと思えば敵対する怪獣ムートーだったり、美しく巨大な背びれのみだったりと、溜めに溜めてゴジラが出現したときのカタルシスといったらもう。ゴジラ世代のお父さんは、俺たちはこの感覚を何十年も待っていたのだと拳を握るわけです。

 物語としても、アメリカ映画でこんなに原水爆などに深く突っ込んでいるのも珍しい。だって、原爆爆発してもサングラスかけてるからOK的な演出をしちゃう映画が、最近でもまかり通るお国ですからね(映画『トゥルーライズ』あたりをみるとよくわかるかと……)。劇中で芹沢博士が父の形見として時計を見せるというシーンがあるが、実は、芹沢の父についての独白、それを聞くステンツ提督は原爆を投下する作戦に従事していたなんていうシリアスなシーンが撮影されていたものの、完パケ時に2時間に収めるため、こういったシーンはやむなくカットされたという。粗編集で4時間近くあったというファイナルカット前の『GODZILLA』を、特典映像とかでぜひぜひ観てみたいですね。

 今回の続編製作決定で、すでに前述のキャラクター使用は東宝から許可をもらったらしい。たしかにモスラにラドンにキングギドラは贅沢なわけですが、できれば小美人はどんなキャストになるのかというのも気になるし、やっぱり次はメーサー殺獣光線車などの東宝特撮が誇る超兵器軍にも登場してほしい。空飛ぶメロンパンことスーパーXの活躍も観てみたい! ギャレス監督の『GODZILLA』続編を期待して待ちましょう!!
(文/加藤千高)

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