──飛行機マニアとひと口に言えど、その楽しみ方は実にさまざま。機体に乗ることを楽しむファンもいれば、各パイロットのファンにグッズ収集マニア、エンジン音マニアなど、幅広い。そこで、ここでは最も身近な“飛行機写真”の世界を覗いていただこう……。
#ヒコーキ撮影に適したレンズは?
写真の出来を左右する存在として、カメラと同様に重要な道具となるレンズ。ヒコーキ撮影においてもレンズの違いが作品に大きな違いをもたらします。
ヒコーキ撮影に際し、一般的な一眼レフカメラに装着するレンズは大別して2種類。単焦点レンズとズームレンズがあります。レンズのカタログなどを見ていてお気づきの方もいらっしゃると思いますが、「300mm/f4」など、焦点距離(mm数)がひとつの場合は単焦点レンズ。「70mm-200mm/f2.8」など焦点距離がココからココまでと記載されている場合はズームレンズです。
まず、単焦点レンズのメリットは画質。構造上、ズームレンズに比べて内部のレンズ枚数を少なくできるためキレ(解像感)のある画を生み出してくれます。ズームレンズはやはり焦点距離を可変させながら撮影できる点がメリット。撮影場所を変えずとも被写体から引いたり寄ったりできます。
人それぞれですが、どちらがヒコーキ撮影に適しているかと言えば、私はズームレンズをオススメします。ヒコーキ撮影というのは撮影ポイントが限られている場合が多く、また機体の大きさも機種により色々あるためレンズの方で焦点距離を変えられる方が何かと便利。画質や解像感も、大きく引き伸ばしたり超望遠域(約400mm以上)を多用するというので無ければそこまで気にならないと思います。
次に焦点距離ですが、撮影ジャンルによって使う焦点距離は変わってきます。美しい風景とヒコーキを絡める情景撮影においてよく使うのは20mm以下の超広角域から中望遠(約85mm~135mm)あたり。機体の真横近辺を撮影するスポッティング撮影では中望遠から望遠(約135mm~300mm)あたり。機体を大きく寄って撮る迫力系の撮影では超望遠域を多く使用します。また、よく撮影に行く空港によってレンズの焦点距離も変わってきます。空港にある撮影ポイントから機体までの距離などを考慮のした上でレンズのチョイスをすると良いでしょう。
レンズ性能を示す表記に焦点距離がありますが、その後に続く「f値」についても触れておきましょう。これは開放f値という絞りを最大限開けた数値なのですが、俗にいう明るいレンズほど数字が小さく、暗いレンズほど数字が大きくなります。一般的に開放f値の数字が小さいほど性能の良いレンズとされ、ヒコーキ撮影においては夜の撮影などで有利に。ただ、明るいレンズほど一般的に値段は高く(1本100万円以上のものも)、レンズ自体も大きく重くなるので注意が必要。ヒコーキは左右だけでなく上下にも動く乗り物なので、無理なく振り回せるレンズを選びたいところです。
最後に、光学ズームとデジタルズームの違いを説明します。どちらも目的の被写体に寄ることができるという点では一緒ですが、前者はレンズを動かすことにより光学的に被写体に寄るのに対し、後者は画像の一部を切り取ることで被写体を大きく見せています。カンタンに言ってしまえば、デジタルズームは写真の四隅などトリミングしているのと同様。画素数を減らすため画質的には不利になります。
●A☆50/Akira Igarashi
フリーフォトグラファー兼グラフィックデザイナー。イカロス出版の発行する「月刊AIRLINE」「航空旅行」などで航空写真の連載記事制作などをおこなうほか、カレンダー撮影、航空会社の広告撮影などを担当。仕事でもプライベートでも飛行機撮影を行う生粋の飛行機好き。写真家として活動するだけでなく、DTP/WEBデザイナーやライターとしても活躍中! ガンダ◯好きだがニュータイプにはほど遠い。
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