観光協会が『ちはやふる』を後押し! 『けいおん!』舞台モデルに西川貴教…滋賀県とアニメの関わり

2014.08.10

 昨年末にNHKの大津放送局が企画して放送された滋賀発地域ドラマ『田上トパーズ!』は、町で行われるバンドコンテスト「軽音楽甲子園」にまつわる父・水島鉱介と娘・陽菜の物語であった。

 その劇中の「軽音楽甲子園」は、2011年から豊郷小学校旧校舎群講堂にて開催している「とよさと軽音楽甲子園」がモデルになっている。

 アニメファンなら、ここで気づくだろう。ドラマ『田上トパーズ!』は、09年からの放送でヒットしたアニメ『けいおん!』と間接的につながっているのである。

『けいおん!』劇中の桜ヶ丘高校のモデルとして知られるようになった豊郷小学校は、付近に新幹線が通っているため、『けいおん!』のヒット前から手軽に“拝める”場所だった。(04年に新校舎が竣工してからは同作の舞台モデルとなった旧校舎群が見えるのは一瞬となっている)。

『けいおん!』を制作したのは京都アニメーションで、同社が制作したアニメで滋賀県がメインの作品としては、12年放送からの『中二病でも恋がしたい!』シリーズがある(滋賀ロケーションオフィスのサイトには、ロケ地が明記されている)。このほか、滋賀県に関する作品としては05年の『バジリスク~甲賀忍法帖~』などがあるが、やはり今一番勢いがあるのは『ちはやふる』になるだろう。

『ちはやふる』は07年からのマンガ連載に加え、特に11年からのアニメ放送でファンを飛躍的に増やした。元来かるたの聖地として名高い同県の近江神宮が、そのまま聖地となっているのも特徴的だ。1月に名人位とクイーン位の決定戦、7月に全国高等学校かるた選手権大会など、近江神宮で行われる現実の行事を作中で擬似体験できるのも人気の秘訣となっている。

 びわ湖大津観光協会には「ちはやふる大津キャンペーン実行委員会」も組織され、12年からは京阪電車大津線でラッピング列車も運行と活気づいている。近江神宮で現在開催中の『ちはやふる』複製原画展も、同実行委員会がサポートしている。

 そのほか、滋賀県は9月の「イナズマロックフェス」でも賑わっている。09年からの当フェスの主催は、同県出身者として滋賀ふるさと観光大使に就任したT.M.Revolutionの西川貴教だ。彼もまた、数々のアニメソングで、すっかりアニメとは縁の深いアーティストになっている。

 ちなみに、滋賀県はメンソレータム(現:メンターム)を発売する近江兄弟社の創業の地として有名だ。創業者のウィリアム・メレル・ヴォーリズは、京都で建築事務所を構えるなど幅広い業績を日本に遺したのだが、先の『けいおん!』のモデル・豊郷小学校旧校舎群もヴォーリズが関わった建築物である。

 このほか、05年に開館した海洋堂フィギュアミュージアム黒壁、07年に登場した「ひこにゃん」など、滋賀県の擁するコンテンツは多彩だ。最近では“明るい廃墟”ことショッピングセンター・ピエリ守山が改装中となったことでも注目されている。そして、このところ掲載記事が現実となってしまう“不祥事”が多発気味な虚構新聞社もある。アニメ以外でも何かと話題の多い滋賀県を、今後も応援したい。
(文/真狩祐志)

■滋賀ロケーションオフィス
http://www.shiga-location.jp/
■びわ湖大津観光協会
http://www.otsu.or.jp/

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