突如、放送が中止されたテレビアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 新編集版』第4話。いくつかのメディアでは佐世保の女子高生による同級生殺し事件の影響だと報じているが、放送するフジテレビは、それすらも認めなかったことはすでに報じた(参照)。
これと共に注目を集めているのが、作品の監督である塩谷直義氏のTwitterでの発言だ。
「エンターテイメントを制作している以上は、時勢に関わらず放送して楽しんでもらえるモノを作り、皆様にお届けする。それが出来ないのは、ただただ監督の責任です。申し訳ありません。」
この発言の注目すべきポイントは、作品の一監督が作品全体の責任を負うような言及の仕方だということだ。あくまで塩谷氏は制作監督であり、作品の原作者であったりすべての権利を有しているわけではない。一スタッフが、製作委員会などを飛び越えて、放送中止に言及しているのである。これは、通常ではあまり考えられない出来事であろう。
とすれば、塩谷氏にはそうまでして発言したい想いがあるはず。早速、塩谷氏が所属しているというアニメ制作会社・Production I.Gに連絡をしたところ、2期の制作が佳境のため、取材はお断りしているという。さらに「通常、こういうお問い合わせは頂かないんですけど」とも。合わせて「会社としては制作監督が製作委員会を飛び越えて発言することに対して、どう考えているのか」と聞こうとしたら「会社としては~」のあたりで、電話の向こうから言葉を遮って、慌てた口調で、こういうのである。
「そういうのは東宝に聞いてください! (製作委員会の)幹事社は東宝です! 幹事社の窓口に聞いてください!」
監督と制作会社の雇用関係がどういうものかはわからないが、所属しているスタッフのしたことについても言及しないとは、これまた妙な感じが否めない。
改めて東宝に取材を申し込んでみると、折り返し電話が掛かってきた。
「あの、Production I.G様から“製作委員会としては回答できない”とお伝えしていると思うんですが……」
……そんなの聞いてないよ。
どうも、製作委員会方式ゆえに職掌の分担が曖昧なのか、会社間の連絡が上手く行っていない様子が伺えた。
今回の放送中止について、製作委員会としての意向を聞くことはできなかった。しかし、作品の作り手側である企業が、コメントすらもできないとはどういうことなのか。製作委員会、あるいは放送局が放送を中止した理由を開示することは、対応の是非を検証するのに重要なことではなかろうか。本来、リスクを分担するはずの製作委員会方式なのに、リスクの部分は誰も面倒を見たくないと考えざるを得ない対応だ。そもそも、上に記したように東宝とProduction I.Gの間に連絡の齟齬があるあたり、それを象徴している。取材を通じて見えたのは、製作委員会の無責任さであった。
(取材・文/昼間 たかし)
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