経産省がマンガ・アニメ海賊版撲滅へ本腰 一方で表面化しない「海賊版ボランティア」の巣窟の存在

 海外で当たり前のように流通している海賊版を撲滅すべく、国家的なプロジェクトを経済産業省が始めている。

 7月30日、経済産業省が、日本の出版社やアニメ関連企業によるマンガ・アニメ海賊版対策協議会とコンテンツ海外流通促進機構(CDOA)と共に始めたのが「Manga-Anime Guardians Project(MAGP)」だ。今月より5カ月間にわたって、マンガ500作品、アニメ80作品の集中的な海賊版削除を実施するという、このプロジェクト。具体的にどのような措置が取られていくのか。

「今回は権利者にピックアップしてもらった、マンガ500作品、アニメ80作品を対象に、作業を担当する企業がネット上で公開されている海賊版を探します。見つけたものについては、権利者に連絡をして削除要請を行うという流れです」(経済産業省文化情報関連産業課)

 これは、現段階で最も効果があると想定して実施されるもので、試験的要素も含んでいる。そのため、5カ月の集中的な作業の実施後には、どれほど効果があったかを検討し公表する予定だという。経済産業省ではこのプロジェクトと同時に正規版リンク集サイト「Manga-Anime here」も開設しており、どの程度効果があるか注目されるところだ。

 一方で、今後さらなる対策を考えるとするなら、いかにして供給源をシャットダウンするかも考えねばならぬだろう。

 海外で流通する、無許可でアニメに字幕をつけてネットで公開するファンサブや、同様の行為をマンガで行うファンサブは「いつ放送・発売されるのが日本よりも大幅に遅い。また、放送・発売されるかもわからない」という大義名分を立てて、当たり前のように行われてきた。アニメの場合、日本での放送後、数日もたたずに各国語の字幕がついたものがネットにアップされているのも日常茶飯事だ。

 実のところ、こうした行為に手を貸してきた人は、単に営利目的で行っているわけではない。その多くが、海外在住の「友人」のために録画したデータを送るという善意によって成り立っている。

 過去の取材の中では、著名なマンガ研究者がこうした行為に手を貸していることを、悪びれることもなく話す場面に出くわしたこともある。ある外国人研究者に至っては「ウチの国では、マンガ・アニメはカネを使わずに入手するのが当たり前」と、正当性を主張されたこともある。同じムラの人間だから「仕方ない」で済ましているようだが、作品で飯を食べている人間が、裏では作品の将来に害を与えているわけで……いい加減そうした状況は是正されなければならないはずだ。
(取材・文/昼間 たかし)

■「Manga-Anime here」
http://manga-anime-here.com/

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