手にしたときの満足度が違う! 新ラノベレーベル「GCノベルズ」の野望

手にしたときの満足度が違う! 新ラノベレーベル「GCノベルズ」の野望の画像1異世界のカード蒐集家 1(マイクロマガジン)。

 次々とラノベレーベルが立ち上げられる戦国時代、いやカオスともいえる状況が続いている。そうした中、今年5月、また新たなレーベル「GCノベルズ」が創刊された。

 このレーベルを立ち上げたマイクロマガジン社は、むしろ関連会社のキルタイムコミュニケーションのほうが知られている出版社ではなかろうか。なにしろ、ヒロインが敗北するシチュエーション・オンリーとか、TS(性転換)でも「皮もの」だけでアンソロジーを一冊出版してしまうような会社である。

 そんな、出版社が新レーベルの第一弾として、5月末に刊行したのは『転生したらスライムだった件 1』(著者:伏瀬/イラスト:みっつばー)と『魔法書を作る人 1』(著者:いくさや/イラスト:mizuki)の2冊だ。いずれも、最初はウェブ小説として展開され、話題を呼んだ作品である。

 今や、ライトノベルレーベルの世界ではウェブ小説として人気を得ている作品を書籍化するのは定番。そのために、投稿サイトの最大手である「小説家になろう」では各出版社が賞を主催したりして、新しい才能の発掘に力を入れている。

 要は、一歩間違えれば他社と同じ戦略に埋没してしまう。しかし、このレーベルはそこを突破する戦略を持っていた。

 レーベルを立ち上げた担当編集者のI氏は語る。

「まず読者層を従来のライトノベルユーザーよりも、少し高めに設定しました。ですから、従来のライトノベルよりもキャラや物語まで、いろんな面で濃いものになっていますよ」

 確かに、冒頭の何ページかを読んだだけでも一気に物語に吸い込まれる。『転生したらスライムだった件 1』はタイトル通り、スライムに転生したところから始まる物語。そして、『魔法書を作る人 1』もオーソドックスなファンタジーものかと思いきや、冒頭の一行目は……

 社畜。

 の一言から始まるのだ。

 どちらも、現代社会に生きる人なら、毎日考えているであろう「そろそろ人生にすげえ展開こないかな……」という夢を叶えてくれる作品なのだ。

 そして、もう一つ目を見張るのが判型と装丁だ。判型は文庫版ではなくB6サイズを採用。これだけならなんの変哲もないのだが、2冊とも装丁が共通フォーマットではなく、まったく違うスタイルなのである。それだけではなく、ページをめくると組版までもが違うのである。

 これは、とてつもなく手間のかかる作業だと思うのだが、その結果として、手に取った時になんとも満足感のある本になっているのだ。

「単にウェブで人気を得ているのを書籍化したわけではありません。改めて紙の本で読むことで、ウェブとは違う満足感を得て欲しいと思っているんです」(I氏)

 多くの人に満足してもらいたいという作家の思いを世に広く知らしめるべく、入魂の編集が行われているこのレーベル。あまりの入魂ゆえに、しばらくは月1冊ペースの刊行予定だとか。

 なお、6月に刊行された『賢者の弟子を名乗る賢者 1』(著者:りゅうせんひろつぐ/イラスト:藤ちょこ)はTSものとなっている。本日7月30日には、これまたウェブ小説として展開された、異世界ものの人気作『異世界のカード蒐集家 1』(著者:茂木鈴/イラスト:野崎つばた)が刊行された。この先の展開が期待されるレーベルだ。
(取材・文/昼間たかし)

■「GCノベルズ」公式サイト
http://micromagazine.net/gcn/

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