ティム・バートンにも影響を与えた! 『GODZILLA ゴジラ』公開で改めて喧伝される円谷英二のスゴさ

2014.07.28

日立 世界ふしぎ発見!(TBS系)公式HPより。

 1954年に第一作が公開され、今年で生誕60年を迎えるゴジラ。現在はギャレス・エドワーズ監督のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』が公開中で、すでに続編の製作も決定している。そんな中、7月26日に放送された『日立 世界ふしぎ発見!』(TBS系)では、ゴジラを生み出した“特撮の神様”円谷英二に迫っていた。

 番組では、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、ジェームス・キャメロン、ティム・バートンら映画監督も、円谷の特撮に影響を受けていると紹介。特にティム・バートン監督は、自身の監督作『マーズ・アタック!』(1999年)にゴジラを登場させている。

 当時、世界を驚かせた特撮についてスポットすると、ミニチュア制作のために銀座の街で実際の建物を一軒ずつ測量し、警察官から不審尋問を受けたり、ゴジラに壊された百貨店の社長たちを激怒させたといったエピソードも紹介された。また、特撮に造詣が深い映画評論家の清水節氏が、海外のバイヤーが『ゴジラ』を買う決め手となった、ゴジラが高圧鉄塔を溶かすシーンを解説。このシーンの撮影手法は諸説あるものの、蝋細工で作った鉄塔をライトの熱で溶かしたという説が有力だという。

 第一作『ゴジラ』は、東宝で特撮をメインとした企画「G作品」として立ち上がった。“G”とは“ジャイアント”のことで、巨大な生物が暴れまわるというコンセプトで、陸の王者・ゴリラと海の王者・クジラを合わせて「ゴジラ」と命名。番組では「ゴヂラ」というタイトルが記された円谷の使用台本も紹介されていた。

 そんな『ゴジラ』の製作だが、実は準備三カ月、撮影四カ月の強行軍。時間のかかるコマ撮り撮影ができなかったため、着ぐるみによる撮影方法が誕生したそう。その後、着ぐるみ(映画用語では“ぬいぐるみ”)での撮影は、日本のお家芸として特撮のスタンダードに。初代ゴジラのスーツアクターを務めた中島春雄によると、着ぐるみは重さ約100キロで、スーツの中に体温計を入れると60度を示すほどの熱気だったとも。この中島は世界初のスーツアクターとして、2011年にハリウッドのあるアメリカ・ロサンゼルス市から名誉市民賞を受賞している。

 そのほか、番組では円谷の半生と共に、戦時中に撮影した東宝映画『ハワイ・マレー沖海戦』(1942年)の特撮があまりにリアルだったため、戦後、GHQに記録映画と認定され、円谷が公職追放されてしまった逸話や、『ウルトラマン』アラシ隊員役の毒蝮三太夫(石井伊吉)、フジ隊員役の桜井浩子、造形家の品田冬樹が登場し、円谷プロが生み出した『ウルトラマン』の人気の秘密、特に怪獣の魅力などにも迫っていた。

 ちなみに、番組のクエスチョンでは、映画『ゴジラ』がアメリカにわたった際、黒色のゴジラがポスターで緑色に描かれてしまったこと(アメリカでは爬虫類・モンスターの特徴として緑色が一般的だった)、円谷がみそ汁の成分が沈殿しているのを見て、噴火の特撮シーンを思いついたこと(番組でも水槽に牛乳を注ぎ、その映像を上下逆にして噴火の煙を実際に表現)、『ウルトラマンA』のスチール星人が当時日本で大人気だったパンダを盗みに地球へやって来たことなどが、問題として出題された。

 映画『GODZILLA』の好調ぶりからもわかる通り、60周年を迎えた今なお、世界中で愛されているゴジラ。こうした円谷の偉業が広く紹介されることで、特撮の魅力を再発見する人がどんどん増えていくに違いない。今後も、円谷が残した『ゴジラ』や『ウルトラマン』などの特撮DNAが受け継がれる作品の登場に期待したい。
(文中、敬称略)

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