なおも指定候補の選択には慎重な面も…「新基準」初適用後の東京都不健全図書指定の運用状況

 今年5月、初の「新基準」を適用した東京都の青少年健全育成審議会。以来、審議会は従来通りの月一回ペースで6月と7月の2回、開催されている。

「新基準」初適用以降の運用状況はどうなっているのか。検証をしてみた。

 6月と7月に不健全指定された図書はそれぞれ2冊ずつの合計4冊である。

■6月
『毒妻クラブ1』
平成26年5月12日発行 竹書房

『やめられない♪とまらない!!ぷれみあむ・がーるず』
平成26年6月1日発行 マックス

■7月
『八月薫のたまらない話』
平成26年7月14日発行 リイド社

『褐色のマーメイド』
平成26年7月8日発行 秋水社

 5月の新指定は「一罰百戒」的な効果の狙ったものであったのか、継続はしていない。6月の審議会の議事録では、おそらく出版関係と思われる委員(公開される議事録では発言者名は非公表)から5月の新基準での指定に対して「いわゆる近親相姦を描いてはいるのですが、どちらかというと非常に稚拙な本でして」として、新基準が適用されたことに改めて疑念の声が出ている。

 そもそも、不健全図書指定の対象になる「成人向け」マークがついていない本で、かつ近親相姦を描いているものが毎月大量に発行されているというわけでもない。「過剰」だとされるエロ表現は従来の基準で諮問することが可能なこともあり、次々と新基準が適用される状況というのは考えにくい。

 条例では、過去一年以内に6回の不健全図書指定を受けた出版社に対して知事が公表・勧告を行うという一段階上の措置も定められているが、現状、最も回数が多いのは竹書房とマガジン・マガジンの4回である。ところが、両社ともうち1回が昨年8月の指定なので、来月で1回分が消えるという計算だ。「新基準」を適用したとはいえ、東京都はなおも騒動を避けるような形で不健全図書の候補を選択しているともみえる。やはり2010年のような騒動は避けたいのだろうか。
(取材・文/昼間 たかし)

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