『思い出のマーニー』は前半のセリフに注目! 「金曜ロードSHOW!」のラインナップにはある狙いが?

 7月19日に全国ロードショー初日を迎えたアニメ映画『思い出のマーニー』。宮崎駿監督の「引退」後、初のスタジオジブリ作品であることも相まって、否が応にも世間の衆目を集めることになった。

 以前より映画館での予告編を見た観客から「百合っぽい」と言われ、テレビで放送された予告編でも同様の感想が聞かれている。そんな先入観を脳裏にちらつかせたまま本編に突入するのはやむを得ないだろう。筆者は先に試写会で拝見できた。鑑賞を終えている今は、ある意味「百合っぽい」という指摘は正しく、制作側の狙い通りではないかとも思える。早くも「思い出」になりつつある中で、ネタバレにならない程度で『思い出のマーニー』鑑賞のヒントを記せられれば幸いだ。

 さて本題であるが、アバンタイトル(映画の題字が出る前)のパートは、原作小説のあらすじにそのまま沿っている。喘息を患っている主人公の杏奈が義母の親戚である大岩夫妻の元へ向かうのは、すでに運命の思し召しというべき導線になっている。

 大岩夫妻の地元に到着してから家に辿り着くまでの風景は、特に家の近所について覚えておくと、後々理解を助けてくれるかもしれない。そしてマーニーが登場してからの展開では早くも本作のオチがわかってしまうようでもあるが、そのキモとなるセリフが前半に隠されている。そのセリフに気づかないとすれば、それに対する杏奈のセリフが観客の意識を逸らすことに成功しているということで、脚本の狙い通りだろう。これは原作からの改編によるところが大きい。

 後半では、それまでのさまざまな出来事が伏線であることが明らかになる。ともすればアバンタイトルに出てきた中のカットも、そこでのシーンの暗示だったのかと思うくらいだ。そこまで遠い伏線回収ではないにしても、久々に出てきた人物の発言にも注目したい。最終的に一挙にタネ明かしがなされることになっても、まだ見どころはあるので気が抜けない。

 先に「百合っぽい」という先入観がある意味で正しいと記したのは、そのほうが本作の展開を楽しめるからでもある。鑑賞後の感想については、各自の判断にお任せする。

 ところで後半で登場する人物の1人は、スタジオジブリ作品のとある人物を想起せずにはいられない。その人物によって、杏奈も“共演者”に見えてきてしまうのだ。確かに類似点がなくはないにしても、今回の公開に合わせて『となりのトトロ』『もののけ姫』『借りぐらしのアリエッティ』を放送してきた「金曜ロードSHOW!」のラインナップも狙い通りだったのかと思えてくる(別の側面としては、マーニー役を“若春”有村架純にしたのは親切すぎたかも……)。

 丁寧に伏線を張り、どんでん返しを味わわせてくれる『思い出のマーニー』。上記のポイントに気をつけて見てみるといいかもしれない。
(文/真狩祐志)

■『思い出のマーニー』
http://marnie.jp/

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