やっぱり『ガールズ&パンツァー』? フィルムコミッションや『あぐかる』も気になる茨城県アニメ事情

 浅野匡は着信したメールを見るなり凍りついた。東京中央銀行大阪西支店長としてではなく、一介の父親として家族と訪れていた水族館での一幕だ。

 昨年の大ヒットドラマ『半沢直樹』の前半のワンシーンだが、舞台が大阪であったため、その水族館が天保山の海遊館だと思った人も多いに違いない。もちろん設定としては海遊館になるだろう。しかし、実際にロケが行われたのはアクアワールド茨城県大洗水族館だった(ちなみに海遊館ではイルカショーを行っていない)。

 一方、同じく大洗水族館のある東茨城郡大洗町にて、1年半におよぶ綿密なロケハンを行っていた作品があった。アニメファンにとっては、茨城県と聞くと即座に名前が挙がるくらいに成功した『ガールズ&パンツァー』(以下、『ガルパン』)のことである。その『ガルパン』は、クレジットにいばらきフィルムコミッションの名称は出て来ないものの、同団体が制作しているロケ地マップには『ガルパン』が明記されている(外部参照)。

 茨城県が今年6月27日に発表したところによると、昨年度、いばらきフィルムコミッションの経済波及効果は約5億5000万円となり、設立初年度(2002年度)以降で過去最高を記録したそうだ。この12年で支援数は計3715作品、累計の経済波及効果は約54億3000万円に達したという。

 フィルムコミッションというと、実写のドラマや映画で利用されるものと思い浮かべるかもしれない。それでも観光協会や商工会議所などと同じように、アニメにも徐々に名を連ねているのが散見されるようになってきた。最近でも、例えば第2期が始まった『Free!』で、とっとりフィルムコミッションのクレジットを確認できる(とっとりフィルムコミッションは3月で解散し、現在は観光連盟が鳥取県フィルムコミッションとして引き継いでいる)。アニメファンにとっての“聖地”は、自ら探し当てる楽しみも含まれていたはずだが、大々的に喧伝されるなど、すでにそこは気にするポイントではなくなっているのだろうか。

 このほか茨城県を舞台としたアニメとしては、『新世界より』(神栖市/つくば市)、『俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している』(水戸市)、そして実写映画でもロケ地となった『宇宙兄弟』(つくば市)や『図書館戦争』(水戸市)などがある。

 一方、これらの作品と異なるアプローチで同県と関わるアニメ『あぐかる』も見逃せない。YouTubeで配信している『あぐかる』は今年、「PLAY WITH IBARAKI」として本格的に展開を開始した。アニメを制作するスタジオぷYUKAIは、あの“Flash黄金時代”を支えた一部のクリエイターが設立している。同スタジオを運営するメディクリエは、かつて東京国際アニメフェアで一般ブースとして出展していたが、その後初開催となったAnimeJapan 2014でも出展を続けている。

 先の『ガルパン』は、7月5日よりOVA「これが本当のアンツィオ戦です!」の上映を開始した。20日には大洗町文化センターにてキャストの舞台挨拶がある。そして同日には、ケーズデンキスタジアム水戸でのトークショーもある。このトークショーは、サッカーJ2リーグでの「水戸ホーリーホック×ガルパン」コラボマッチの中で行われることとなっている。8月9日にはアニメ映画『宇宙兄弟#0』の公開も控えているが、茨城県は、まだまだ『ガルパン』がリードしていくのだろう。
(文/真狩祐志)

■『ガールズ&パンツァー』
http://girls-und-panzer.jp/
■『あぐかる PLAY WITH IBARAKI』
http://playwith.ibaraki.jp/
■いばらきフィルムコミッション
http://www.ibaraki-fc.jp/

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