無難？ 期待はずれ？　女性誌の“オタクブーム”に乗った「CUTiE」の『弱虫ペダル』“大特集”の中身

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「CUTiE」8月号（宝島社）

　最近、女性ファッション誌がアニメやマンガの特集を組むことがたびたび見られる。7月11日に発売した「FRaU」8月号も『進撃の巨人』（共に講談社）の特集を組み、人気キャラのリヴァイが表紙を飾ったことで話題になった（参考記事）。“人気作品”の特集を組むと、普段はその雑誌を手に取らないようなオタク層が購入することで、雑誌の売り上げがアップするともいわれている。また、同日発売の女性ファッション誌「CUTiE」（宝島社）8月号でも、7月号の予告で、アニメ化もされた人気マンガ『弱虫ペダル』（秋田書店）の“大特集”を組むとあったことから話題になっていた。今号からリニューアルし、「ガールズファッションとジャパンカルチャーを繋ぐHUBマガジン」となった「CUTiE」の『弱虫ペダル』特集の中身はどのようなものになっているのだろうか？

　ページを開いてみると、『弱虫ペダル』特集というものの、実際は6ページの1コーナー扱い。コーナーは全体的にピンク色でまとめ、手書き文字で飾ったかわいらしい誌面になっていた。最初の2ページは簡単な作品紹介と、主人公・小野田坂道ら総北高校の面々、ライバル校である箱根学園のメンバー、また京都伏見高校の御堂筋らのキャラクター相関図が。相関図では巻島裕介に「ショ」と、キャラの横に手書き文字でセリフなどが書かれているのだが、箱根学園の真波山岳には羽を生やし、その横に「バサバサ」と書かれている。真波は作中で、自転車で山を登る時に一瞬、羽が生えているように見えるという描写がされるのだが、この誌面では特にそのことを紹介するわけでもなく、作品を知らない読者から見ればなぜ羽が？　と思うかもしれない。ファンから言わせれば、「真波には『俺、生きてる！』というセリフが妥当だろ！」と思ってしまうなどの違和感もある中、誌面は全体的に『弱虫ペダル』初心者講座といった、よくある記事といえるだろう。

　そのほか、読者モデルが自転車店「Y’s Road 池袋店」に行き自転車に乗るというロードバイク講座、5～6ページ目にはファッション誌ならではといった、自転車ファッション紹介と、「弱ペダ女子にオススメ自転車カタログ」が。自転車カタログではキャラが作中で乗っている自転車と、アニメ『弱虫ペダル』に出演している声優が乗っている自転車も声優の写真付きで紹介され、巻島裕介役の森久保祥太郎、真波山岳役の代永翼が登場していた。

　発売前から作品のファンを中心にTwitterなどで話題になっていた「CUTiE」の『弱虫ペダル』“大特集”。しかし現物は全6ページと、とくに大々的に特集されているわけではなかったので少し期待はずれな印象。また、雑誌のリニューアルでファッションだけでなく、“ジャパンカルチャーを繋ぐHUBマガジン”と謳っていたが、まだまだその要素を感じることはできなかった。

　だが、「CUTiE」は今号から新たに「オトメカルチャー部」となるものを設立。いまどきの女子にとって、アニメやマンガなどのオタクカルチャーをたしなむのは「常識」とし、オタク趣味を持つ読者モデルが毎月オタクカルチャーを徹底調査し、発信していくとのこと。その中に、「気になるもの・コトはガンガン調べる＆チャレンジ！」と書かれていたのだが、今月の『弱虫ペダル』の特集を見た後だと「本当にできるのか!?」と思わなくもない。しかし「このマンガがすごい！」といったムックなどでも知られる宝島社だけに、「オトメカルチャー部」の今後の展開に期待してもいいかも。

　そして、来月発売の「CUTiE」9月号では『Free！』の特集をするという。『弱虫ペダル』からの『Free！』と、とりあえず人気ジャンルを取り上げていることにも「またオタクを狙っているのか!?」と突っ込みたいところ。また『弱虫ペダル』では自転車ファッションを取り上げていたが、『Free！』は競泳水着を取り上げることになるのだろうか……？　さっそく迷走の予感（!?）もしなくもないが、次号はどのようにオタクカルチャーを“徹底調査”してくれるのか楽しみにしておこう。
（文／真波ゆうこ）